The SCO Groupは10月19日(米国時間)、同社CEO兼社長のDarl McBride氏を10月14日付けで解雇したことを発表した。
SCOは2007年9月に連邦破産法第11章(Chapter 11)を申請しており、現在は経営再建中の途上にある。経営破たんの大きな要因となったのはUNIX/Linuxの知的所有権をめぐる訴訟費用。UNIXのソースコードの知的所有権はSCOにあり、Linuxはその権利を侵害しているとして、IBMなどを次々に訴えた裁判である。途中から現在UNIXの権利を保有するNovellが訴訟相手に加わり、2007年8月に「UNIXのソースコードの権利はNovellにある」との判決で一連の裁判は終了した。
McBride氏は敗訴するまで湯水のごとく会社の資金を注いだため、責任をとってCEOを辞任すると見られていたが、その後も在職、反撃のための資金集めに奔走していたという。その甲斐あって、2009年8月、コロラド州デンバーにおいて「2007年8月の判決を白紙に戻す」という決定がなされ、再びSCOが裁判を仕掛けるのか!? という噂も流れていた。その矢先に発表された同氏の解雇に、Linuxコミュニティではこれを歓迎するコメントが世界中のサイトに書き込まれている。
今回のMcBride氏解雇にあたっては、破産管財人のEdward Cahn氏の意向が強く働いたといわれている。裁判にあくなき執着心を見せ続けるMcBride氏の存在はSCOの経営再建にとって「百害あって一利なし」と判断したのだろう、同氏解雇についてのリリースの文面には「Darl McBrideをCEO兼社長から排除(eliminate)し、その契約を解除(terminate)する」という強くてキツイ単語が並んでいる。
SCO経営陣は今後、「Cahn管財人とそのチームの下で経営再建をめざす」としている。そして資金を確保して「IBMやNovellとの訴訟に備える状態にしていく」とも続く。だが、アナリストや業界関係者には「SCOはもう裁判に力を注ぐ余裕はなく、一連の裁判は事実上終結している」とする向きがほとんどだ。世界中のOSS関係者/企業と闘うには、SCOはあまりにも弱体化している。だが、裁判期間があまりに長かったためだろう、いまだLinuxユーザは「またSCOが何かしてくるんじゃないか…」と疑念を抱く。McBride氏の解雇とともに、本当にこの不毛な争いは終わった…と信じたいLinuxユーザの願いはかなうのだろうか。
SCOの訴訟問題の経緯についてはこちらの記事もお読みください。(編集部)
"訴訟ビジネス"の終焉を告げられたSCO