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2010年1月21日「サードベンダのローコストRHELサポートは“悪夢”」ライバルとの対決姿勢を鮮明にするRed Hat

今流行りのクラウドコンピューティングでは、MicrosoftとRed Hatの2社がインフラの主導権を握ろうと激しく争っている。だが、No.1 LinuxベンダであるRed Hatにとって、Windowsプラットフォームを展開するMicrosoftよりも、同じLinux陣営のほうに本当の意味での敵が多いようだ。ここで言う「敵」とはつまり

  • フリーのLinuxソリューション …Ubuntu、CentOSなど
  • RHELのサポートを低コストで提供すると謳うサードベンダ …Oracle、Novellなど

のこと。

同社は2月3日、⁠フリー&"ローコスト"Linuxのリスクを理解する(Understanding the Risks of Free and "Low Cost" Linux⁠⁠」と題したWebセミナーを行う予定だが、その概要説明では、とくにサードベンダによるローコストなRHELサポートを"悪夢(nightmare)"とまで表現している。

Oracleは2006年に行われた同社の年次カンファレンス「Oracle OpenWorld」において、同社のCEOであるLarry EllisonがRHELサポートプログラムである「Unbreakbale Linux」を発表、Red Hatに対して「Oracleのほうが低コストで安心なRHELサポートを提供できる」と挑戦状を叩きつけた。"Ubureakable(決してこわれない)"という名前をつけたところに、Red Hatより良いモノを出せるというOracleの強気の姿勢が感じられる。もちろんRed Hatは激しく反発したが、同サポートは現在も続けられている。

Novellの場合はOracleほど直接的ではないが、やはりRed Hatにとっては面白くないサービスのひとつだ。同社が提供するSUSE Linux Enterprise Server(SLES)のサポートメニューには"拡張サービス"の一環として、SLESへの移行期間中、向こう3年間にわたり、顧客が現在使用しているRHELをサポートするというものがある。WindowsやSAP ERPなど、エンタープライズでメインとなっているソリューションと親和性が高いのはSLESだけ、だからRHELからは乗り換えたほうがお得、でも今使っているユーザが困らないようにNovellがRHELを期間限定でサポートして差し上げます、というもの。

もっとも、これらのサービスはいずれも最近始まったものではない。なぜRed Hatが今になってこれらを"悪夢"と呼ぶようになったのか、その理由ははっきりしない。同社の業績は非常に好調で、パートナー業者からの評判も高い。また、RHELだけでなくJBossを中心とするミドルウェア事業も順調に進んでいる。他社のサポートをとくに気にする必要はないように思えるが、もしかしたら新事業を進めるにあたって、こういった勢力が邪魔になる可能性が出てきたのかもしれない。2月3日のウェビナーでどんな話題が出るのかが注目される。

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