Linus Torvalds氏は5月16日(現地時間)、Linuxカーネル2.6.34を正式公開した。数多くの新機能の中で、もっとも特筆すべきは2つの新しいファイルシステム「Ceph」と「LogFS」の採用だ。その他、KVMネットワークを高速化する「vhost net」、Btrfsのアップデート、GPUスイッチングのサポート、VMwareドライバ「VMware Balloon」のサポートなどが実施されている。
新しく追加されたファイルシステムのうち、CephはもともとIBMによって開発されていたもので、ペタバイト級の大規模分散ネットワークを扱えるファイルシステム。複数ストレージノード間にデータを分散できるObject Storage Device(OSD)システムが特徴だ。スケーラビリティ、透過性、信頼性のいずれにもすぐれており、メタデータの動的な負荷分散も可能なため、大容量ストレージの需要が高まるクラウドコンピューティング時代に適したファイルシステムとして注目されている。
もうひとつのLogFSは、USBやSSDなどのフラッシュデバイスを扱うファイルシステム。同じくフラッシュデバイスを扱うJFFS2に比べメモリ消費量も少なく、高速アクセスが可能な点が特徴だ。
またvhost netは、Linuxのデフォルト仮想化ソリューションとなりつつあるKVMのパフォーマンスを向上する機能で、仮想化によるオーバーヘッドを大きく低減する。仮想化環境下でのI/O処理におけるワークロード最適化は、現在のLinuxカーネル開発にとって最大の鬼門ともいえるべき部分で、今後もさらに注力されると見られている。