日本市場から撤退してしまったNokiaの携帯電話事業だが、同社はワールドワイドではいまも1位の携帯電話メーカである。もっとも、スマートフォン事業ではAppleやRIM(BlackBerryのメーカ)から完全に遅れを取ってしまい、苦しい戦いを強いられている。決算の数字も下方修正を余儀なくされている状態だ。
そんな苦境に立たされている中、Nokiaはひとつの大きな決断を下したようだ。NokiaのスポークスマンDoug Dawson氏がロイター通信に語ったところによると、同社のフラグシップ携帯「Nokia N-series」は、次の製品から搭載OSをSymbianからLinuxプラットフォームのMeeGoに変更するという。つまりは、今のN8モデルがSymbianを搭載した最後のNokiaスマートフォンになる。
この5月にバージョン1.0をリリースしたMeeGoは、組込みや車載コンピュータからネットブック、タッチ端末まで幅広くカバーするモバイルLinuxプラットフォームとして、開発者からもユーザからも注目度が高まっている。これと反比例するかのように、同じオープンソース、しかも同じNokiaが支援するプロダクトでありながら、Symbianへの関心は一向に高まる気配を見せない。Sony EricssonやSamsungと同様、Nokiaもローエンド端末では引き続きSymbianモデルをサポートするとしているが、もはやSymbianでは強豪ひしめくスマートフォン事業で勝てない、と踏んだようだ。
Nokiaがスマートフォン事業でもたついている間にAppleはiPhone 4をリリースし、Androidも各社から続々と魅力的な端末が続々と出始めた。またBlackBerryも固いシェアを守っている。MeeGoでどこまでこれらのライバルに迫ることができるのか、日本では手に入らないが、Linuxユーザは次のN-seriesには要注目である。