かのIan Murdockが大学時代に当時のガールフレンドのDebraと自分の名前を組み合わせ、"Debian Linux System"を誕生させたのが1993年8月16日のことだった。あれから17年、Debianこと"The Debian Project"は最も重要なLinuxディストリビューションのひとつとして、その重要性は増すばかりだ。
最初はIanの個人的プロジェクトとして始まったDebianだが、そのコンセプトは最初から"Linux/GNUのスピリットにもとづいた、オープンに作られるディストリビューション"だった。とうの昔にIanはDebian Projectから離れ、Debianもコミュニティも17年の間に大きく変化したが、根幹となっている部分は今も変わらない。
Debianは現在、次のメジャーリリースであるバージョン6.0、コードネーム"Sqeeze"の機能をフリーズし、正式リリースに備えている段階にある。ご存じの向きも多いと思うがDebianの開発コードは映画『Toy Story』の登場キャラにちなんで付けられており、Buzz(1.1)、Rex(1.2)、Woody(3.0)、Etch(4.0)、Lenny(5.0)などが並ぶ。なおDebianの開発者版(unstable)は「sid」と呼ばれるが、これは最初の『Toy Story』に登場する敵役Sid Phillipsから取っている。
Linuxディストロとしてだけでなく、OSSとしてもDebianは重要な役割を果たしてきた。Ian Murdockの後を継いでプロジェクトを率いたBruce Perensは1997年にDebianのガイドラインをまとめているが、これがのちにOSSの定義の原型となっている。
LinuxとOSSの発展を支え続けてきたThe Debian Projectは今や1,000人を超すコントリビュータが存在する一大プロジェクトとなった。17歳の誕生日を迎え、同プロジェクトは「フリーソフトコミュニティの精神にもとづき、Debianはプロジェクトや活動に参加したいという人はすべて喜んで迎え入れる。次の17年も楽しみだ」と記している。