DebianベースのLiveCDディストリビューション「PelicanHPC」が9月10日、バージョン2.2にアップグレードされた。CD1枚分、670MバイトのイメージでHPCクラスタ環境を構築できるディストロで、対応アーキテクチャはi386とamd64となっている。
バージョン2.2の最大の変更点は、コンフィグファイル(~/pelican_config)のカスタマイズでほぼ完璧にヘッドレスブートが実現できるようになったことだ。その他の主な新機能は次の通り。
- 永続的なフロントエンドホームの自動検出
- フロントエンドおよびノードのローカルスクラッチスペースの自動検出
- ローカルスクリプトによる起動/セットアップ
- 起動後のノードにビープ音
- ファイアウォール
- Wake-on-LANを利用し、ノードの起動を自動化
- MPI用Pythonフロントエンド(mpi4py)
ただし9月11日現在、i386アーキテクチャについてはバグが発生したため、amd64のみの提供となっている。バグフィクスが終わりしだい、i386イメージも提供されるという。
PelicanHPCは並列コンピューティングの規格であるMPI(Message Passing Interface)を利用してHPCクラスタリングを可能にするディストロで、フロントエンドマシンをCDイメージから起動するだけという手軽さがポイント(以前のプロジェクト名はParallel Knoppix)。フロントエンドは実際のマシンでも仮想マシンでもかまわない。接続されているノードはPXE(Pre-Execution Environment)から起動する。クラスタリング環境の実験などには最適のシステムと言える。
- PelicanHPC
- URL:http://pareto.uab.es/mcreel/PelicanHPC/