Linuxの生みの親、かのLinus Torvalds氏がフィンランド・ヘルシンキの出身であることはよく知られている。ヘルシンキ大学で修士号を取得したのち、1997年からTransmetaなど米国の企業で働いてきた同氏は、2004年からオレゴン州で家族と共に暮らしている。
そのLinus氏がどうやら、このたび、正式に米国市民権を獲得したようだ。9月13日(米国時間)付けのLWN.netにポストされた同氏のメッセージに、「有権者登録をしに行かなくちゃいけなくて、ソーシャルセキュリティのオンラインアップデートもやらなきゃいけない - 先週USシチズンになったので」という短いコメントがあったのだ。"Citizen Linus"の誕生に多くのLinux住人たちが「おめでとう!」メッセージを寄せている。
実はLinus氏は2008年、米国市民権の取得、つまりはアメリカ人になることについて、自身の見解をブログに記している。2008年といえば米国大統領選の年だ。グリーンカードホルダーであれば、米国レジデントとして日常生活を送るぶんには何の支障もないが、やはり選挙のシーズンだけは"投票できない"という現実に向き合わなくてはならないらしい。Linus氏はブログで「米国には10年以上住んでいるし、ここが自分の"ホーム"だという思いは強いけど、別に"エイリアン"でもかまわない。市民権取得のための面倒くさい手続きを考えると、そんなことをしてまでシチズンにならなければならない理由が見つからない」とし、大統領選挙については「周囲は選挙の話ばかりだし、自分が投票できないということをあらためて感じるのは確かだが、それは別に大したことじゃない」と分析、「善良な市民が急に人が変わったように乱痴気騒ぎに興じている」となかば呆れ気味で批判している。
もっとも2年前の心境がどういういきさつで変化したにしろ、別にそれ自体は悪いことでもなんでもない。このことがLinus氏の開発スタイルや言動に大きな変化をもたらすこともないだろう。ただ、2012年の大統領選ではどんなコメントをするのか、多少気になるところではある。