iPhone、iPad、それにAndroid端末の普及で、世の中のPCはまもなくタッチ端末にすべてとって代わられるのでは!? といった風潮さえ感じられる今日このごろだが、一般ユーザよりも一歩も二歩も先を行くUIデザイナーは、すでに新しい可能性にチャレンジしているようだ。Ubuntuの開発をリードし、資金的な支援も行っているCanonicalだが、そのデザインチームに所属するChristian Giordano氏が、近い将来Ubuntuで実現しようとしているインターフェースについて、ブログにポストしている。
Giordano氏は「任天堂のWiiやAppleのiPhone、そして最近出たMicrosoftのKinectなんかの流れを見ていると、開発者はそろそろ、キーボード、マウス、タッチスクリーン以外にコンピュータを制御する方法があるんじゃないかと考え出すころだ」としている。つまり、ユーザがマシンに触れなくても、ユーザの動きを読み取ることで、ユーザの希望する操作を実現するというものだ。こういったUIの実現には、いかに精度の高いハードウェアセンサーが開発されるかというだけでなく、同時にソフトウェアによる制御も重要になってくる。たとえば話題のXbox 360体感デバイスのKinectは、プレーヤーの動きをかなり正確に読み取ることができるという評判だが、その機能もカメラが取り込んだ画像を分析するソフトウェアが優秀でなくては使い物にならない。
さて、Ubuntuでもこういった"フィジカル"なUIを現実のものにしようと、数年前から試行錯誤を続けているという。Giordano氏がポストしたシナリオを紹介していこう。
- 自動でフルスクリーンに
- ユーザがビデオカメラの前にいて、スクリーン上のあるウィンドウにその様子が映っているとする。そしてユーザがスクリーンから離れていくと、そのビデオウィンドウは自動でフルスクリーン表示になる。
- フルスクリーン通知
- ユーザがスクリーンの前から離れると、通知画面(メール受信やIM)がフルスクリーンで表示される。これによってユーザは、多少離れたところからもメッセージを読み取ることができる。
- パララックス効果
- 「今年は3D真っ盛りではあるけど、パララックス効果の恩恵を捨てるのはもったいない」とGiordano氏。パララックス効果とは視差効果とも言い、スクリーン上に重なっているいくつかのレイヤを、それぞれ違った速度で動かすことで、奥行ある画面に見せるテクニック。このパララックス効果を上手に使うことで、3DっぽいLook&Feelが実現しやすくなる。
以上で同氏が説明したことを簡単なデモで見せてくれるのが以下のビデオだ。Linuxをこんなふうに操作できるようになる日が、あと1、2年後に本当にやってくるのかもしれない。