UbuntuとCanonicalがUbuntu 11.04でOpenGLベースのWaylandを採用する動きに出たというニュースは先日お伝えしたが、やはり人気No.1ディストリビューションがXを"見限った"ともいえる方向性を示したことは、Linux/OSS界隈の人々に大きな衝撃を与えた。そしてどうやら、もうひとつの人気ディストロであるFedoraもまた、Waylandに多大な興味を示しているようだ。
Fedoraプロジェクトでグラフィック周りの開発を担当するAdam Jackson氏は11月9日、開発者メーリングリストにおいて、同じくグラフィック担当のKevin Martin氏、Dave Airlie氏らと話し合い、FedoraにおけるWaylandの扱いについて、一定のコンセンサスが得られたと投稿している。
気になるそのコンセンサスとは、「Waylandはまだデフォルトになるような状態ではない」ものの、「Fedora 15では、何らかの形で動くパッケージとして収録されているだろう」とのこと。Fedora 15は2011年5月にリリースが予定されているが、これは4月末のUbuntu 11.04とほぼ同じ時期。つまり来年のGW明けごろには、Waylandで動くディストロが2つも誕生していることになる。さらにJackson氏は「今の段階では移植するソフトの基準はおろか、Waylandをいつごろデフォルトにするのといった予定ももちろん決めていない。でも最終的にはいろんな理由から(Waylandが)勝利をおさめるのは間違いないだろう。つまらない連中(the peanut gallery)がやいやい言うだろうけど、無視できるレベルだから」とちょっと過激なコメントを残している。これはどうも、Waylandが騒がれるようになってから「ボクの(古い)ハードウェアがサポートされないのはイヤだ」「オレのXアプリが全部移植されないと困る」などと必要以上に騒ぎ立てる一部のユーザに、ややうんざりしたことから来ているようだ。
Waylandはまだ開発に時間を要するのは確かで、おそらく2012年ごろまではXが主流のデスクトップ環境であることには変わらない、というのが大方のメディアの見解だ。ただ、Xが無条件でLinuxのデフォルトUIの座を維持できる時代は、どうやら終わったようである。Xがデフォルトを維持し続けるには今後、Wayland以上のアピールが必要になってくるのは間違いない。