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2010年11月18日"ミラクルパッチ"にLinusも大喜び!Linuxカーネルを高速化させた233行のコード

Linus Torvalds氏という人は、少なくともメールの中では、かなりはっきりと感情を表に出す。誰かor何かに対して怒っているときは相手を名指しで批判(というより非難)し、逆にうれしいときはあふれる喜びを隠そうとしない。今回紹介するのは後者のほう。⁠I'm also very happy」⁠it is a _huge_ improvement」⁠Good job.」など、喜びと称賛の表現がたくさん書かれているメールだ。

Linus氏を歓喜させたのは、カーネル開発に携わるMike Galbraith氏が書いた233行のカーネルスケジューリングパッチ。このパッチを適用すると、デスクトップ環境においてパフォーマンスが著しく向上するという。実際にこのパッチを当ててみた様子がYouTubeにアップされているが、パッチを当てる前と後では描画速度がまったく違うことに驚く。

パッチを当てる前

パッチを当てた後

Linus氏は11月14日付けのLKMLのメールで、⁠こんな小さなパッチがここまでの仕事をするなんて、まったく驚いたとしか言いようがないよ。もちろんうれしい驚きだけど。しかもこのコードは、煩わしいところ、醜いところがまったくない」と最初からほめまくっている。もともと、Linus氏はシンプルですっきりしたコードのほうが好きだと公言しており、肥大化した今のカーネルを決して快く思っていないことはよく知られている。だからこそ、233行という短いパッチがパフォーマンスを大きく向上させたことを高く評価しているのだろう。

「スクローリングのスムースさはもちろんだけど、僕が驚いたのはWebページのローディングの速さだ」とLinus氏はその速さを絶賛する。このパッチはTTYごとにタスクグループを自動的に生成するが、そのしくみがカーネルの高速化に大きく貢献しているようだ。

すでにさまざまな環境でテストが開始されており、一部からは「クアッドコアAMD Phenom CPUからIntel Atomネットブックまで、どれもこれもすばらしいパフォーマンス」を記録したという声も上がっている。Linus氏はGalbraith氏のパッチは「グループスケジューリングを"特定のサーバロードには便利な機能"から"キラーフィーチャー"に変える」とコメント、スケジューリングの概念を変える出来映えだと最大限の称賛を贈っている。

現在、Linuxカーネルは10月にリリースされた2.6.36が最新版だが、この"ミラクルパッチ"はその次の次のバージョンである2.6.38に取り込まれるのではないかと見られている。

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