Ubuntuの創設者で英Canonicalの会長を務めるMark Shuttleworth氏は、1月18日付けの自身のブログにおいて、4月リリース予定のUbuntu 11.04(開発コード"Natty Narwhal")ではQtのサポートを拡大すると発表した。UnityやGNOME Shellを採用するとして議論を呼んでいるUbuntu 11.04だが、今回のQtサポート拡大により、GNOME/GTKに対する依存度がさらに縮小することになる。
Shuttleworth氏は「重要なのは(ユーザに提供する)価値であり、ツールキットはその手段のひとつに過ぎない」と強調しており、UbuntuがGTKに固執する理由はとくにないとしている。
同氏はUbuntuのアプリケーションとして採用するのに重要な基準として
- フリーソフトウェアであるか
- そのクラスで最高レベルの基準にあるか
- システム設定やプリファレンスと統合できるか
- 他のアプリケーションと統合できるか
- マウスやキーボードを使えない人にもアクセスを提供できるか
- システム全体とルック&フィールが調和するか
といった項目を挙げ、Qtに関しては「最初の2つは何ら問題がない」とする。そしてシステム/プリファレンスとの親和性については「QtとGTKの間には大きなフリクションが存在する」とし、「Canonicalはこの問題を解決するため、Qt用のdconfバインディングの開発を進める」と表明、そのために専任の技術者としてdconfのスペシャリストであるRyan Lortie氏をCanonicalで採用したことを述べている。
さらにQt開発者とUbuntuコミュニティは長年良好な関係にあるとコメント、たとえばUbuntuのタッチインターフェースuTouchの統合にはQt関係者が多大な貢献をしているという。
気になるGNOME側の反応だが、Shuttleworth氏は「Qtに対して門戸を開いたことでGNOME側が非難しているということはまったくない。むしろGNOME側は歓迎している」と語っており、「我々のワークデザインはGNOMEを中心にしており、いま最もフォーカスしているのはGNOME 3.0およびGTK 3とUbuntuの統合だ」と明言している。
だが今回のQtサポートの拡大は必然的にGNOME/GTKへの依存を縮小することにつながるのは間違いない。ちなみにUbuntu 11.04で採用が表明されているUnityデスクトップはQtで開発されている。