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2011年3月16日“夢の高速パッチ”取り込まれたLinuxカーネル2.6.38が登場

Linus Torvalds氏は3月14日(米国時間⁠⁠、Linuxカーネル2.6.38のリリースを発表した。最大の注目ポイントは、Linus氏も賞賛した約200行の"夢の高速パッチ"による大幅なパフォーマンス向上。その他、仮想ファイルシステム(VFS)のスケーラビリティ向上、btrfsのサポート強化、サイズの大きいページを透過的に扱えるTransparent Huge Pages(THP)など、パフォーマンス向上を中心とする多くの機能強化が図られている。

今回取り込まれた高速パッチはスケジューラに関するもの。同じセッションIDをもつ複数のプロセスを1つのスケジューリングエンティティとみなし、プロセスのグループ化を自動で行う。たとえばCPUリソースを必要とする6つのプロセスがあり、最初の4つが同じセッションIDをもつとする。プロセスグルーピングを自動化しない場合は、これまで通り、6つのプロセス(エンティティ)にそれぞれCPUリソースが順番に割り当てられることになるが、自動化することでプロセス1~プロセス4が1つのエンティティとみなされ、割り当ての対象エンティティが6から3に減り、高速化を図ることができる。

その他の主な新機能は以下の通り。

  • VFSのスケーラビリティ向上(マルチスレッドだけでなくシングルスレッドのワークロードも大幅に高速化)
  • btrfsにLZO圧縮機能およびリードオンリーのスナップショット機能を追加
  • 4KBから2MBまでのサイズのページに透過的にアクセスできるTransparent Huge Pages
  • XPS(transmit packet steering)の実装
  • モバイルデバイスのアドホックネットワークを向上する"B.A.T.M.A.N."メッシュプロトコルの採用

なおLinus氏は自分の"お気に入り"としてRCUベースのパス名探索機能を挙げている。

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