GNOMEリリースチームは4月6日(現地時間)、GNOME 3.0のリリースを発表した。2002年に登場したGNOME 2.0以来、再三の延期を経て実に9年ぶりとなるメジャーバージョンアップで、外観も機能も大きく変更されている。サポート言語は50以上。すでに入手可能だが、リリースチームは一般のユーザはディストリビューションやベンダから入手することを勧めている。
ユーザ向け/開発者向けのそれぞれの主な特徴は以下のとおり。
ユーザ向け
- アクティビティオーバービュー
- 新通知システム
- メッセージングシステムの統合
- ワークプレイスにおけるウィンドウのグループ化
- 統合的なデスクトップサーチ
- システム設定フレームワークの改善
- トピック指向のヘルプ
とくに目玉とされているのがアクティビティオーバービューだ。これはデスクトップのポータル的な役割を果たす機能で、ウィンドウ全体や起動中のアプリケーションのチェック、タスク切り替えなどをスムースに行う。アクティビティボタン、画面左上のホットコーナー、Windowsキーなどからアクセスできる。
通知システムは、たとえば緊急ではないソフトウェアのアップデートなどの通知でユーザの作業が遮断されることがないように配慮されており、ユーザが意図的にクリックするまでトレイに保存される。メッセージングシステムは今回からデスクトップ環境に統合され、緊急メッセージの場合はアプリケーションを別に立ち上げることなく、即座に応答することも可能だ。
その他、よく使うアプリケーションをまとめておくダッシュボード機能や複数のウィンドウを一度に操作できるタイル表示機能などが追加されている。壁紙やテーマ、フォントなども一新された。
アプリケーションも数多く追加/改善されている。主要なものとしては
- ファイルブラウザのNautilus
- WebブラウザのEpiphany
- テキストエディタのgedit
- メッセージングアプリケーションのEmpathy
などが大幅に改善されている。
開発者向け
- モダングラフィクス(旧描画APIの削除)による高速化
- 入力デバイスでXinput2を利用可能
- テーマ機能の改良
- 複数プラットフォームのサポート
- GtkApplicationクラスの改善によるアプリケーション作成の容易化
- GObject Introspectionの導入による言語バインディングの動的更新
- GSettingsとdconfによる設定の高速化/シンプル化
- リッチでフレキシブルなUI
- 統合開発環境Ajuntaの機能強化
GNOME 3は2010年9月のリリースが予定されていたが、「より完成されたプロダクトを提供したい」というプロジェクトの意向で正式版の登場が半年ずれ込み、Ubuntuはこれを受けてUbuntu 11.04ではWaylandの採用を決定したという経緯をもつ。GNOME 3を利用できる最も直近のメジャーディストロはFedora 15になると見られている。なお、次のバージョンであるGNOME 3.2は2011年9月のリリースが予定されている。