Linuxカーネルの次のバージョンが3.0となり、すでに開発もスタートしているが、一部の関係者にとっては待望の機能だった仮想化環境Xenのメインラインにおけるフルサポートがどうやら正式に決まったようだ。CitrixおよびOracleの開発者がそれぞれブログで報告している。
Linuxにおける仮想化環境はここのところRed Hatが推進するKVMが主流となっており、IBMやHewlett-Packard、Intelなどの有力ハードウェアベンダもこれに追随している。KVMはオープンソースとして公開されてからわずか2カ月後に、Linuxカーネル2.6.30のメインラインに統合され、カーネルの進化の恩恵をそのまま受けてきた。
一方でKVMよりもずっと以前からLinuxメインラインへの統合を希望していたXenだが、技術的に多くの問題が立ちはだかり、なかなか実現に向かって進まなかった。Xenの仮想マシンは「ドメイン」という単位で管理され、ほかのドメインを管理するマスター的役割をもった「ドメイン0」と、ゲストOSの「ドメインU」で構成される。このドメイン0の機能がLinuxカーネル本来がもつ機能と重複するとして、Xenのメインライン統合はかなり難しいとみられていた。
だが「2年の歳月を費やした」(Oracle)努力が実り、今回、ドメイン0(Dom0)、ドメインU(DomU)ともにメインラインでサポートすることをLinus Torvalds氏が了承したという。Oracleは同社の仮想化環境「Oracle VM」がXenをベースにしたハイパーバイザであるだけに、強力にXenのメインライン統合を進めていた。
とりあえずXen関係者にとっては朗報となった今回のニュース、KVMに押されがちだった形勢をどこまでカバーできるのかが、次は注目されそうだ。