昨日の記事でもお伝えしたとおり、晴れてコードネーム"Lisa"ことバージョン12をリリースし、飛ぶ鳥落とす勢いで人気上昇中のLinux Mint。DistroWatchのページランクでもここ12ヵ月首位をキープしており、新バージョンリリースでさらに人気に拍車がかかりそうな様相を呈している。海外のLinux系メディアも近ごろはLinux Mintの記事の占める割合が明らかに増えてきた。
この"Mintブーム現象"だが、当然ながら疑問を投げかける向きも存在する。とくにDistroWatchのページランクで4位という結果を記録したUbuntuユーザは、このところ毎日のように「Ubuntuのシェアが下がった」と報道されるのだから愉快なわけがない。
長年、オープンソースやフリーソフトウェアのコミュニティに携わり、FedoraやXubuntuの開発に関わってきたITジャーナリストのLarry Cafiero氏は、自身のブログの「Lies, damned lies and statistics(ウソばっかり、どうしようもないウソと統計)」と題したエントリで、「DistroWatchの統計は、(ディストロの)ダウンロード数じゃなくてページへの訪問者数じゃないか。まずダウンロード数を示してから話をしてもらいたいね」とやや怒り気味でコメント。
加えて「(Ubuntuの上位にいる)Mint、Fedora、openSUSEのどれも最近になって新バージョンが出たばかりじゃないか。新バージョンが出たばかりならページランクが高いのも当然」と、それだけの理由で「Ubuntuのシェアが下がっている」というのはおかしいと反論する(もっともCafiero氏は、Ubuntuの人気急落に影響を及ぼしていると言われているUnityについてはあまり賛成ではないらしい)。
一方でこの状況に対し、Ubuntuユーザはもっと危機意識をもつべき、という意見もある。カナダ・バンクーバー地域のコミュニティマネージャであるRandall Ross氏は自身のブログで「世間の評判というものはミームのように伝染し、やがて共通意識になりやすい。我々はこの流れを止めなくては」と呼びかけている。
さて、この騒ぎ(?)に対してUbuntuファウンダーで"慈悲深き終身の独裁官(Self-Appointed Benevolent Dictator For Life, SABDFL)"氏はどう思っているのだろうか。同氏はUbuntuコミュニティのIRCで「Mintのレイティングが上がったことは素直に賞賛したい。Ubuntuがこんなにもすばらしい派生ディストロをもっていることをうれしく思う。そして来るこれからの時代、UnityがNo.1デスクトップでありつづけることに自信をもっている」とコメントしている。当面の間、UbuntuのUnity路線は変わらないようだ。