Linus Torvalds氏は7月21日(米国時間)、Linuxカーネルの最新版であるLinux 3.5を正式公開した。開発期間は約2ヵ月、その間に重ねたRCは7本になる。RC7ではぎりぎりになってプルリクエストを送ってきたメンテナーに対し、Linusがややキレ気味になる一幕もあったが、それ以外は大きな混乱もなく正式公開にこぎつけた。
- LKML: Linus Torvalds: Linux 3.5 released
いくつもの新機能や強化ポイントのなかで、もっとも注目されるのはext4の改善だろう。周知の通り、ext4は現在、多くのメジャーディストロのデフォルトファイルシステムとして採用されている。だがext4はBtrfsやSolarisのZFSに比べ、データインテグリティの面でかなり遅れを取っており、このギャップを埋めるべく、3.5ではext4にメタデータチェックサムの機能が追加されている。これにより誤った書き込みなどから生じるデータの破損を防ぎやすくなる。
また、SCSIデバイスをAppleの「Target Disk Mode」機能に似たような形でFireWireやUSBを経由して他のマシンに接続できる、"SCSI over FireWire and USB"ドライバが含まれている。
メモリマネジメントでは"Frontswap"が新たにサポートされた。これはメモリが不足してきたとき、抽象化されたメモリであるTranscendMemoryに空きがあれば、特定のページをスワップからTranscendMemoryに送ることができる。クリーンなページをTranscendMemoryにキャッシュしてメモリ領域を空けるcleancache機能を補完するもので、ディスクにアクセスするよりも高速な処理が期待できる。
Linux 3.5のリリースと同時に、次のLinux 3.6のマージウィンドウもオープンしている。これからバケーションシーズンに入ることから、3.6は大きな変更点の少ないバージョンになると見られている。リリース直前のプルリクエストを嫌がるLinusもメンテナーに対して「休暇を取るんだったら、大きな変更は3.6に無理に反映させようとはせず、3.7にしておいて」と呼びかけている。