Linus TorvaldsやGKHことGreg Kroah-Hartmanとともに、かつてはLinuxカーネルメンテナーの第一人者として活躍していたAlan Cox。ここ数年、LinusやGKHとは一線を置いていたようで、カーネル開発の話題にも登場することが激減していた。
そのAlan Coxが1月22日、自身のGoogle+において「Fedora 18は最悪のRed Hatディストロ」と発言したことがLinux界隈でちょっとしたニュースとなった。
「新しいインストーラは使えたもんじゃないし、アップデータはバグだらけ。デフォルトデスクトップも起動しようとしたら、めちゃくちゃな動き。しかもバグはすくなくなるどころか、どんどん追加されているようだ」とFedora 18の印象をさんざんにこき下ろしたのち、「このマシンは再インストールしないとダメだな。でももうFedoraじゃないけどね」とコメント、その後のポストで「Ubuntuに変更した」としている。
元Red HatのCoxがここまでFedoraを酷評するのははじめてで、「そこまでひどく言わなくても…」という声もあったが、Coxと同様、Fedora 18におけるAnacondaの大幅書き換えを嫌っているユーザは少なくなく、次の"シュレディンガーの猫"ことFedora 19でどのような改善が図られるかが注目されている。
さて、久々にLinuxニュースの表舞台に出てきたCoxだが、2日後の24日、もっと衝撃的な発表をGoogle+上で行っている。2011年から在籍していたIntelを退社し、Linux開発からも見を引くという。理由は"家庭の事情"とのことだ。
- Alan Cox 2013/01/23
- https://plus.google.com/u/0/111104121194250082892/posts/KW3TdRYwjr9
Coxは「"家庭の事情"というと、みんな"本当はボスがクソ野郎だから"という言葉のかわりだと思うかもしれないけど、そして僕はときどきLinusのことをこのクソ野郎と思うことがあるのは事実だけど、今回は本当に家族のことが理由なんだ。IntelもLinusも、ほかの誰も関係ない。将来、(Linux開発の世界に)戻ってくることがあるかもしれないけど、今はなんとも言えない」と語っており、最後に「確実なことなんて何もない、あるのはチャンスだけ(There is no certainty only opportunity.)」という映画『Vフォー・ヴェンデッタ(V for Vendetta)』の有名なセリフを引用して結んでいる。
表舞台に出ることが減っていたとはいえ、20年に渡ってCoxがLinuxカーネルに果たしてきた貢献ははかりしれず、その引退を惜しむ声は大きい。再びLinuxの世界に戻るのか、それとも別のビジネスを始めるのか、いずれにしろCoxがどこかで活躍する姿を願うファンは少なくない。