「Fedoraプロジェクトは、かけがえのない、長期間に渡って貢献してきたコミュニティのメンバーを失ってしまった。Seth Vidalが昨日の夜、7月8日に亡くなった」─ こんな書き出しで始まるFedoraプロジェクトのリーダー Robyn Bergeronからのあまりにも悲しいメールが、7月9日(米国時間)にFedoraプロジェクトのメーリングリストに投稿された。
- The Fedora Project community mourns the loss of Seth Vidal
おそらくリアルタイムでこのメールを読んだ人は、悲しむよりも前にひどく驚いたに違いない。なぜならVidalは7月8日までTwitterなどソーシャルメディア上でも活発に投稿しており、彼が死ぬ理由など見つからなかったからだ。Bergeronのメールには死因などは書かれておらず、よけいに悪い冗談のように思われた。だが数時間後、Vidalの死がひき逃げによってもたらされたというニュースを目にし、Linux関係者はようやく、この受け入れがたい知らせが現実だということを思い知らされることになる。
日本のユーザにもおなじみのSeth Vidalだが、Fedoraプロジェクトのリーダー的存在であったことはもちろん、YUMのリードデベロッパとしても活躍しており、Vidalが所属するRed Hatにとっても頼もしい技術者であった。Linux/OSSに果たしてきた貢献も数知れない。36歳というあまりにも早すぎるVidalの死を悼み、Red Hatも公式に追悼文を出している。
- Thank you, Seth Vidal.
Vidalはプライベートでは自転車に乗ることを愛していた。ひき逃げに遭ったときも大好きなロードバイクに乗っていたという。「自転車に乗るのはコンテストのためとかじゃなくて、ただ楽しみたいからなんだ。難しいことを考えないで、みんなももっと楽しもうよ! 」と生前語っていたVidal。地元のノースカロライナ州ダーラムでその自転車に乗っているときに轢かれてしまったのだ。
7月11日現在、まだ犯人は捕まっていない。
[編集部注] その後、加害者と見られる男性が警察署に出頭したことが地元メディアなどで報じられました。
- Driver arrested in cyclist hit-and-run