Linus Torvaldsは11月3日(米国時間)、Linux 3.12の正式リリースを発表した。多くのメジャーディストリビューションでデフォルトファイルシステムとなっているext4のパフォーマンスが改善され、グラフィックドライバを新たに数多くサポートするなど、いくつもの機能が大幅に追加/強化されたバージョンとなっている。
Linux 3.12の主な強化ポイントは以下の通り。
- Btrfsにおけるオフラインモードでのデータデュプリケーションサポート
- デュアルGPU搭載ノートPCにおけるGPUスイッチングの自動化
- RAID5におけるマルチスレッディング
- (Linux 3.10で実現した)タイマー非依存なマルチタスキングの大幅な改善
- 新ロックスキーム"lockref"の追加
- アウトオブメモリ(Out-Of-Memory)ハンドリングの改善
- eLLCキャッシュ(Intel Haswellプロセッサの内蔵GPU "Iris Pro Graphics 5200" のパフォーマンス強化機能。128MBのDRAMが組み込まれている)のフルサポート
なお、通常は正式版のリリースとほぼ同時に次バージョンのマージウィンドウがオープンするのだが、今回(Linux 3.13)に限ってはLinusの都合で2週間遅れとなることが発表されている。
もうひとつ、Linux 3.12の正式リリースに際してLinusがコメントした重要な内容がある。それは「Linux 4.0」を2014年中には登場させたいとするもの。Linusは、数年に渡るバージョンとなったLinux 2.6.xのような「ばかげた数字(the kinds of crazy numbers)」が付いたバージョンをリリースしたくないと考えており、直近ではないもの「Linux 3.19かそれくらいのバージョンの次に」すみやかにLinux 4.0に移行したいと考えているという。
さらにLinusが今回、カーネル4.0について言及したのは、欧州で行われたLinuxConのQ&Aセッションでのやりとりがきっかけのようだ。ある質問者から「Linuxカーネルの開発って、結局バグフィクスの繰り返しばっかりのような気がする」と言われ、最初はLinusも鼻であしらっていたものの、開発者のモチベーションをアップさせるためには何か大きなきっかけが必要と考えたようだ。来年の今ごろはLinux 4.0登場!のニュースをお届けできている…かもしれない。