2003年当時、Red Hatはローエンド向けのディストリビューションであるRed Hat Linuxの開発を中止し、企業向けのRed Hat Enterprise Linuxに注力することを決めた。しかしこの決定に対するユーザの反発は大きく、多くの優秀なオープンソース開発者がRed Hatを見限ろうとしていた。Red Hatはここで大きなジレンマに悩むことになる。企業として利益を追求するためには、エンタープライズ向けにビジネスの舵を切るのは正しい判断である。しかし、企業ユースだけを見据えたビジネスを展開すれば、それまで同社を支えてきた多くのOSSユーザ/開発者の支持を失うことになるのは目に見えており、それはすなわち、最先端のLinux企業ではなくなることを意味していた。