4月6日(米国時間)、CoreOSのCEOであるアレックス・ポルヴィ(Alex Polvi)は同社のブログでGoogle KubernetesとCoreOSをパッケージしたエンタープライズ向け商用コンテナ環境「Tectonic」の(ベータ版)ローンチを発表した。同時にGoogle Venturesから1200万ドルの資金提供を受けたことも発表しており、Googleとともにエンタープライズ向けコンテナビジネスに本格的に注力する姿勢を明らかにしている。
- Announcing Tectonic: The Commercial Kubernetes Platform
Kubernetesは2014年にGoogleが公開したオープンソースプロジェクトで、コンテナを管理/運用するためのエンタープライズ向けフレームワークだ。ロードバランシング、サービスディスカバリ、新バージョンのロールアウトなど、アプリケーション開発のためのインフラをコンテナとして実装し、それらを管理するワークフローを提供することで、アプリケーション開発者が開発だけに注力できるよう支援する。
KubernetesプロジェクトにはGoogleだけでなくMicrosoftやIBMなどの競合企業も参加しており、すでにWindows AzureではKubernetesが一部で組み込まれている。今回、CoreOSはTectonicにおいてKubernetesをフルサポートすると表明しているが、Tectonicはあくまでも商用サービスとして扱うため、rktなどCoreOSの既存プロジェクトとは別のラインで展開することになる。
ポルヴィCEOは「我々のテクノロジはよく"Googleのインフラストラクチャをすべての人々に届ける技術"と言われる。Tectonicはその通りの世界を実現する、商用のKubernetesプラットフォームだ」と表明しており、コンテナに特化したOSであるCoreOSと、エンタープライズ向けのツールや機能が充実しているKubernetesがパッケージングされることで、最初から企業が安心して使えるコンテナ環境が入手できると強調する。エンタープライズ向けのプロダクトらしく、オンプレミスとクラウドの両方での稼働をサポートをしている点も特徴だ。なお、Tectonicの一般公開(GA)は2015年の中ごろが期待されている。
今回の発表で気になるのは、Tectonicがエンプラ向けのコンテナ環境であるにもかかわらず、リリースの中には"Docker"という単語がまったく見当たらないことだ。ポルヴィCEOは昨年12月、Dockerとは別にCoreOS独自のコンテナエンジンを開発するとしてRocketプロジェクトのローンチを発表しているが、TectonicでもDockerには依存せず、Rocket主体でプロジェクトを進めると思われる。一方でKubernetesはDockerコンテナの管理を前提にしたプロダクトだけに、今後、Tectonicがどういった方向で開発されるのかが気になるところだ。