Linus Torvaldsは4月12日(米国時間)、Linuxカーネルの最新版である「Linux 4.0」を公開した。前版のLinux 1.9リリース以来、7回のリリース候補版を経てほぼ予定通りのスケジュールで公開できたことになる。
- LKML: Linux 4.0 released: Ima Sheep
Linux 4.0の最大の目玉はライブパッチ機能の実装だ。これまでLinuxカーネルにはリアルタイムでパッチを当てることができなかったため、運用管理者はパッチ当てのためにシステムの再起動をせざるを得なかったのだが、Red HatとSUSEが協力してプロジェクトにあたり、今回の4.0での実装を実現した。この機能は今後、バージョンが進むにしたがってさらに洗練されていくだろう。
その他の強化点としては
- Intelの第6世代Coreプロセッサ「Skylake」サポートの改善
- Intel Quark SoCのサポート
- ARMハードウェアサポートの拡充
- Playstation 3用のパッチ提供
- Lenovo製コンパクトキーボード用などいくつかのHIDドライバのアップデート
- BtrfsでのRAID 5/6サポートの改善
などが挙げられる。
Linux 4.0はライブパッチ機能の実装やナンバリングが3.20から4.0に変わったことで、いつものリリースより注目を集めることになったが、Linusは「4.0はサイズ的にも機能的にもそれほど大きくもないし特別でもない。むしろ次の4.1のほうがより大きいバージョンになる」とLKMLへの投稿でコメントしている。「今回のリリースでうれしいのは予定通りのスケジュールで出せたこと。4.0は新機能は少ないけれど、その分、この番号の響きにふさわしくとても安定している。機能ベースでリリースしていた悪夢の日々に比べれば、いまタイムベースでリリースできているこの状況を本当に幸せに思う」(Linus)
Linusは再三、4.0というバージョンにしたのはライブパッチ機能の実装によるものではないと語っており、今回のリリースにあたっても「ライブパッチ機能より重大な機能強化はこれまでに何度もしてきている」と念を押している。むしろ4.0で注目すべきはコードとしての堅牢性が高まったことだと強調しており、次の4.1での大幅な機能強化に備えた土台づくりのリリースだともいえるだろう。