Linux Daily Topics

2016年7月25日C++ならではのメリットを! シンプル&ライトウェイトなハイパーバイザ「Bareflank」

米国のセキュリテイ企業には、国防総省(DoD)や陸海空軍に所属していたり、これらの組織と密に仕事をしてきたセキュリティエキスパートたちが立ち上げたスタートアップが数多く存在する。

ニューヨークに本拠を構えるAsured Information Security(AIS)もそうしたスタートアップのひとつで、米空軍研究所(Air Force Research Laboratory's Information Directorate)でサイバーオペレーションにまつわるあらゆる業務をこなしてきたメンバーたちが2001年に創業した。現在では連邦政府のサイバーオペレーション業務に関わるほか、空軍で培ったセキュリティの知見を製品やサービスとして一般企業に提供することをミッションとしている。

そのAISが6月30日(米国時間⁠⁠、同社が開発したLinux対応ハイパーバイザ「Bareflank 1.0.0」をオープンソースとして公開した。ライセンスはLGPL v2.1。ハイパーバイザとしてシンプルで軽量でセキュア、かつ多くのOSをサポートすることを目指している。

GitHub - Bareflank/hypervisor: lightweight hypervisor

Bareflankの最大の特徴はC++で書かれている点だ。この理由についてAISは「C++の標準ライブラリ(STL)を使えるようにするため」としている。これによりポインタやハッシュテーブル、マップ、リストといったデータ構造などを共有することが容易になる。

オープンソースのハイパーバイザのほとんどはCで書かれているが、そのためにSTLが提供するような機能を利用するにはユーザ側が修正や機能追加を行う必要がある。ハッシュテーブルの呼び出すコール関数ひとつ書くにも、STLが使えるのと使えないのではその手間が大きく異なってくるが、Bareflankではユーザがハイパーバイザを使う際の負荷を極力削減することをゴールとしている。

もうひとつ、Bareflankが目指しているのは「あらゆるタイプのハイパーバイザの機能を含む」ことだ。ハイバーバイザには大きくXenのようなネイティブ型(Type 1)とVirtualBoxのようなホスト型(Type 2)があるが、Bareflankはその両方をサポートするとしている。ユーザが自由にハイパーバイザを拡張し、独自のハイパーバイザを作成することも可能になるという。

もっとも現時点でBareflankがサポートするのはIntel系の64ビットLinux(Ubuntu 14.04/16.04、Debian Stretch、Fedora 23)のみ、ハイパーバイザとしてはベアメタル型のサポートのみだ(Windowsサポートは実験段階⁠⁠。AISは段階的に機能を拡充していくとしており、年内にもアップデートバージョン(1.1)をリリースする予定だという。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧