1991年8月25日、フィンランドにあるヘルシンキ大学の小さな研究室で誕生した1万行程度の小さなカーネルが、25年後に世界でもっとも普及したオペレーティングシステムに成長することを誰が想像しただろうか。8月25日、Linuxはその誕生から25周年を迎える。
Linuxの生みの親であり、現在もカーネル開発の指揮を執るLinus Torvaldsは24日、カナダ・トロントで開催中の「LinuxCon」に登壇し、Linux誕生とプロジェクトが成長した理由についていくつかの興味深いコメントを残しているが、その中でも印象に残るのが「僕はGPLv2を愛している。LinuxがLinuxであるために重要な要素だから」というもの。
Linuxはその25年の歴史において何度も大きな課題に直面してきたが、その中でも最大の危機のひとつが多くのコマーシャルベンダに雇われた開発者とボランティア開発者の間に生じていた摩擦だった。どの機能やパッチを優先的にカーネルに取り入れていくか、そのコードが特定の誰かの支配下に置かれてしまったらLinuxはどうなるのか ―そういった不安をすべて解消したのがGPLv2というライセンスだったという。「このライセンスの下にあれば、誰もコードの優先権や所有権を主張できない。コードはいつまでもフリーでオープンなままでいられる」とLinus。Linuxが過去に消えてなくなったいくつもの商用UNIXと同じ道をたどることなく済んだのはGPLv2の存在を抜きにして語れないといえる。
なお、ここ最近、Linus自身はほとんどカーネルコードを書いておらず、かわりにリリースプロセスを安定させるマネジメントにフォーカスしているという。「リリースプロセスがうまく機能し、やるべき人がやるべきコトをやり、とくに大きな問題を抱えることなく進んでいるとき、僕は本当に誇らしくなる」というコメントに、10年以上に渡ってほぼ10週間ごとのカーネルリリースを続けてきた自信が見えてくる。
いくつものハードルを乗り越え、世界のITシステムを支え、そして変え続けて25年。あらためて、Happy Birthday Linux!