NVIDIAは8月17日(米国時間)、「NVIDIA Tesla GPU」に対応した仮想化ソフトウェア「NVIDIA Quadro Virtual Data Center Workstation Software(Quadro vDWS)」を発表した。HPCアプリケーションなど負荷の高いエンタープライズワークロードに最適化された仮想化ソフトウェアで、3Dレンダリングやディープラーニング、VR/ARといった分野での活用が期待されている。
- NVIDIA Quadro Virtual Data Center Workstation Software Turns Tesla GPU Servers into Powerful Workstations | NVIDIA Newsroom
Quadro vDWSはTeslaシリーズの中でもPascalアーキテクチャを搭載した「Tesla P4」「Tesla P40」「Tesla P100」といった仮想デスクトップの高速化に適したGPUアクセラレータにフォーカスしたソフトウェア。NVIDIAはQuadro vDWSを利用することで以下のようなメリットがあるという。
- 最大24GBのGPUメモリで複雑な3Dや写真の加工を容易に
- 前世代のNVIDIA GPUアーキテクチャ(Maxwell)に較べて2倍のパフォーマンスを実現、生産性を大幅に向上
- グラフィック処理とコンピュート処理を統合、CUDAやOpenCLといった開発環境をサポートし、ストリームラインデザインやコンピュータシミュレーションを容易に
- ビデオエンコードエンジン「NVIDIA NVENC」をサポート、CPUに負荷がかかりがちなH.264ストリームをオフロードし、Linuxユーザのパフォーマンスを向上
さらに今回の発表に伴い、NVIDIAはブレードサーバ向けにデザインされた16GBメモリの新GPU「Tesla P6」を発表、Quadro vDWSに対応させるとしている。
NVIDIAはここ1、2年、エンタープライズ分野におけるGPUのニーズが拡大しているトレンドを受け、クラウドコンピューティングや大規模データセンターでの採用事例を大幅に増やしている。とくにディープラーニングに関してはNVIDIAの"一人勝ち"といった状況が続いており、5月にリリースされた新アーキテクチャ「NVIDIA Volta」はAI/ディープラーニングに完全特化、210億トランジスタを搭載し、120テラフロップスを実現、Pascalの5倍のパフォーマンスを誇るGPUとして注目を集めている。
Quadro vDWSはそうしたエンタープライズでのGPUニーズの拡大を受けて登場した仮想化ソフトウェアだが、その中でもとくに「シングルGPUをリモート(クラウド/データセンター)経由で、かつ複数のユーザが重たいアプリケーションワークロードを集中的に実行するユースケースを想定している」という。
ゲームなどコンシューマの世界での知名度が高かったNVIDIAだが、前述したように最近はAI/ディープラーニングのリーディングカンパニーとしてメディアに登場することが多い。今回、データセンターでの用途に適したGPU仮想化ソフトウェアをみすからの手でローンチしたことで、エンタープライズベンダとしての立ち位置をさらに明確にしたといえる。