Linus Torvaldsは1月28日(米国時間)、2018年最初のカーネルアップデートとなる「Linux 4.15」の正式公開をアナウンスした。年初に明らかになったIntel CPUの脆弱性問題(Meltdown/Spectre)の対応のため、通常のスケジュールよりも多い9本のリリース候補(RC)版を出すかたちとなり、4.15-rc9の後に出されたIntelのパッチに対しては「どこからどう見ても完全なるクソコード(All of this is pure garbage./As it is, the patches are COMPLETE AND UTTER GARBAGE.)」など、相変わらずの口の悪さで怒りを表明していたLinusだが、結果として「(Meltdown/Spectreに関してやるべきことはまだあるが)4.15の出来はとてもよい感じ」(Linus)に仕上がったようだ。
- Linux 4.15 - Linus Torvalds
Meltdown/Spectreのパッチ対応以外のLinux 4.15のおもなアップデートは以下の通り。
- "display code"を含むAMD GPUドライバ(amdgpu)のサポート改善、「Vega 10」「Raven」をデフォルトでサポート
- SATAのALPM (Aggressive Link Power Management: ディスクがアイドル状態のときにSATAを低消費電力に設定する機能)実装における不具合を改善
- RISC-Vアーキテクチャのサポート
- Linux 4.14で追加された「AMD Secure Memory Encryption」に加え、新たに「AMD Secure Encrypted Virtualization(SEV)」をサポート
- Intel CPUのセキュリティ機能「User-Mode Instruction Prevention」をサポート、有効にするとSGDT/SLDT/SIDT/SMSW/STRなどのユーザモードからの実行を無効化する
- Linux 4.5でstableになったcgroup v2にCPUリソースコントローラを完全にマージ
- mmap(2)に2つの新しいフラグ「MAP_SYNC」「MAP_SHARED_VALIDATE」を追加
Linux 4.15のリリースとともに、LinusはLinux 4.16のマージウィンドウをオープンしており、すでに大量のプルリクエストが来ているという。「またいつもの、そしてまったくもって退屈なリリースサイクルが始まる。しかし退屈は本当によいことだ」というLinusのコメントどおりに、Linux 4.16の開発は静かに、そして退屈に進んでいくとよいのだが。