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2018年6月26日Kubernetesこそ未来 ―GitLab、プラットフォームをAzureからGCPへ移行

GitLabのGCPプロジェクトマネージャを務めるAndrew Newdigateは6月25日(英国時間⁠⁠、同社が展開するGitリポジトリのホスティングプラットフォーム「GitLab.com」をMicrosoft AzureからGoogle Cloud Platformへと移行することを同社のブログで発表した。6月上旬に発表されたMicrosoftによるGitHub買収のニュース以来、GitHubからGitLabへと移行する開発者は急速に増えているが、今回の移行によりその数はさらに増えることになりそうだ。

We're moving from Azure to Google Cloud Platform | GitLab

AzureからGCPへ移行する理由として、NewdigateはKubernetesおよびGKE(Google Kubernetes Engine)を挙げている。⁠我々はKubernetesこそ未来だと信じている。Kubernetesは圧倒的なスケールでもって信頼性を担保することを可能にする技術。だからこそ我々は今年の前半(2018年3月)GitLabとGKEのネイティブ統合を果たしGitLabユーザがシンプルにKubernetesを利用できるようにした。そして今回も同様に、Kubernetes上でGitLabを動かしたいという思いから、GCPを我々のクラウドプラットフォームとして選択した。GoogleはKubernetesを生み出した企業であり、そして(そのGoogleが提供する)GKEはもっともロバストで成熟したKubernetesサポートを有している。GCPへの移行は、GitLab.comを顧客のミッションクリティカルなワークロードに適した環境にするという我々の計画における次なるステップだといえる」⁠Newdigate)

Newdigateのエントリには、GitLabが提供するエンタープライズ向けプレミアムサービスのひとつである「Geo」インスタンスのマイグレーション計画についても触れられており、現在、GitLab自身が"dogfooding(試験運転中)"として、同社のすべての環境をGeoを利用しながらAzureのデータセンター(米バージニア)からGCPサイト(米サウスカロライナ)へと移行中だとしている。また、GitLabは数ヵ月前からGitLab.comのGeoセカンダリサイトのひとつとして「gprd.gitlab.com」をGCP上で運用しており、日々の同期コピーとして約200テラバイトのGitデータと2テラバイトのリレーショナルデータ(PostgreSQL)を扱っているという。現在、移行のためのフェイルオーバーは7月28日(土)に予定されており、GitLabは「すべての重大なイシューが我々の満足するレベルで完璧に解決したと確認してはじめてフェイルオーバーを実施する」⁠Newdigate)と強調しており、安全なデータ移行の実施をユーザに約束している。

MicrosoftによるGitHub買収が発表された翌日の6月5日、GitLabのユーザ数およびリポジトリ数は激増し、わずか24時間で10万を超えるリポジトリを記録している。2日前の6月3日のリポジトリが8897だったことを考えると、驚異的な伸びだと言えるだろう。近年のMicrosoftのオープンな方向性が評価されたこともあり、同買収はIT業界において全体的に好意をもって受け止められていたが、かつてオープンソースを"ガン"呼ばわりしていた巨大なプロプライエタリベンダに、間接的とはいえ、オープンに開発するソースコードやプロジェクトを委ねることを良しとしない開発者はまだ世界中に数多くいる。

GitHub買収発表の前日6/4から、すでにリポジトリの爆発的な大移動が始まっているGitLabのブログより)
GitHub買収発表の前日6/4から、すでにリポジトリの爆発的な大移動が始まっている(GitLabのブログより)

GitLabは今回のGCP移行についてKubernetesをその大きな理由に挙げているが、GCPをベースのインフラとすることでMicrosoftの影響を嫌がるユーザを取り込む効果が大きいことは疑いない。GitLabがGitHubのオルタナティブ的存在から脱却し、エンタープライズビジネスを展開する企業として信頼を重ねていくという意味でも、今回のGCP移行の成否が注目される。

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