Linus Torvaldsは12月23日(米国時間)、当初の予定通り「Linux 4.20」の公開を発表した。「先週は期待していたほど静かな1週間ではなかったけど、4.20のリリースを遅らせるほどの問題は見当たらない」(Linus)として、無事にクリスマス休暇前のリリースを果たしている。
- Linux 4.20 released.. -Linus Torvalds
Linux 4.20では数多くのハードウェアが新たにサポート、または拡張されており、AMDの2つのAPU「AMD Picasso APU」「AMD Raven 2 APU」、「AMD Vega 20」「Intel Icelake Gen 11」など次世代GPU、AMD Zenをベースにした中国製CPU「Hygon Dhyana」、Alibabaが買収した中国製組み込みチップ「C-SKY 32-bit CPU」、次世代ハイエンドSoC「Qualcomm Snapdragon 845 SoC」などが挙げられる。また、Intelの2.5G Ethernetコントローラ「Foxville」やサウンドカード「Creative Soud Blaster ZxR」などのサポートも追加されている。
また、Linux 4.20における目玉ともいえるのがピアツーピア(peer-to-peer)のPCI/PCIeメモリサポートだ。PCIデバイスの中にはBAR(Base Address Register)空間内に割り当てられたメモリをピアツーピアトランザクションに使用するものがあるが、Linux 4.20ではDMAインタフェースを提供することでこれをサポートする。このサポートにより、たとえばNICからSSDストレージ、または複数のGPU間でデータをダイレクトにコピーすることが可能になる。
LinusはすでにLinux 4.21のマージウィンドウをオープンしており、すでに早めのプルリクエストが手元に届いているという。メッセージの最後の「Have a Merry Christmas or other holiday of your choice.」の言葉通り、今年最後のカーネルをクリスマスプレゼントとして届け終わり、年末年始の休暇を過ごしてから、次のLinux 4.21が本格的に始動する。