2018年10月にMongoDBが発表した新しいライセンス「Server Side Public License(SSPL)」がオープンソース界隈に賛否両論を巻き起こしたニュースはまだ記憶に新しい。これは、MongoDB Community Serverおよび関連エコシステムを利用したサービスを提供する場合、商用ライセンスをMongoDBから購入するか、もしくは当該サービスをオープンソースとして公開することを義務付けたもので、AWSなどパブリッククラウドによるオープンソースの"タダ乗り"、つまりフリーライダー的な利用を制限することが目的だとされている。同様の動きはApache Kafkaの開発元であるConfluentやNoSQLデータベースのRedisなどにも拡がっており、さらに大きなトピックとなりそうな勢いだ。
SSPLのようなライセンスをオープンソースとして認めるべきか ―今後、この問題への対応に影響を与えそうなひとつの結論がFedoraプロジェクトから出された。1月15日(米国時間)、Fedoraプロジェクトで法務を担当するTom CallawayはSSPLv1(Server Side Public License version 1)に対するFedoraの見解として、「レビューを重ねた結果、SSPLv1はフリーソフトウェアライセンスではないという結論に達した」と表明している。
- Server Side Public License (SSPL) v1 -Tom Callaway
CallawayはSSPLについて「あるクラスのユーザに向けた、意図的な妨害であり、このライセンスの作成者の意図は、商用ユーザに対するFUDの誘発であることが明らか。SSPLをフリーまたはオープンソースと認めればFOSSエコシステムに(良くない)影響を投げかけることになる」と厳しく批判している。つづけて、「現時点でSSPLv2のドラフトを見る限り、v1とライセンス内容が変わってない」として、SSPLがv2にアップデートされてもFedoraの決定は変わらないとしている。
「我々はFedoraの"Bad License"リストにSSPLv1を加えた。(Bad Licenseの)EPELやCORPsと同様に、このライセンスのソフトウェアがFedoraに含まれることはない」 ―これはつまり、SSPLが適用されたMongoDBはFedoraリポジトリのRawhideには入らない可能性が高いことを示している。Fedoraという歴史の長いオープンソースコミュニティが、オープンソース界隈のもうひとつの動きとは相対する態度を表明したことで、他のLinuxディストリビューションやオープンソースコミュニティはどう動くのか、2019年もこのライセンス問題はしばらく尾を引きそうだ。