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2019年4月25日systemdフリーな世界を快適に立ち上げる ―モダン&シンプルな起動ユーティリティ「S6」

メジャーなLinuxディストリビューションのほとんどが起動処理にsystemdを採用するようになった一方で、systemdフリーな世界を求めてやまないユーザや開発者をターゲットにしたディストリビューションも少なからず存在する。Debianベースの「Devuan」やArch Linuxベースの「Artix Linux」などはその代表だ。

systemdフリーをめざすのであれば、当然ながらsystemdの代わりにシステムを立ち上げるinitを選ばなくてはならない。Devuanの場合はユーザが任意のinitを選択でき、ArtixであればOpenRCやrunitを利用する。今回紹介する「S6」もそうしたユーティリティのひとつだが、そのシンプルでユニークな設計思想から、Linuxシステムの起動だけでなく、コンテナ環境でのデーモンプロセス自動化などでも使われている。

s6 - skarnet's small supervision suite

S6はフランス人開発者Laurent Bercotが作成したソフトウェアスイートで、⁠skarnet.org's small and secure supervision software suite」⁠skarnet.orgはBercotが運営するサイト名)をもじって名付けられている。特徴としては

  • PID 1(プロセスID 1)として実行
  • サービスマネージャは別リソース(s6-rcまたはanopa)として用意し、上のレイヤでパラレルサービスマネージャとして実行させる
  • トラディショナルなinit(/sbin/init)では実現できないポータビリティにフォーカス
  • C言語で開発
  • 超軽量(2Mバイト以下)
  • コードが少ない
  • あらゆるPOSIXシステム/ディストリビューションで実装可能
  • ライセンスはISC

などが挙げられるが、とくにPID 1として常時実行できる点やサービスマネージャを別リソースで提供している点が高く評価されており、コンテナ環境下ではSupervisorよりもS6を推すユーザの声もある。

このS6を採用しているディストロとしては、Artixと同じくArch Linuxをベースにした「Obarun」が挙げられる。対応アーキテクチャはx86_64のみで、デフォルトのデスクトップ環境はJVM、インストーラはテキストベース、ライセンスはS6と同じISC、…と、どこまでもシンプリシティにこだわっており、サイトにも明記されているように「Linux初心者には向いていない設計」である。

Obarun -Arch Linux based system without systemd
Eric Vidal @Obarun - GitLab

ObarunではS6を効率よく利用するためのコレクションツール群として「S66」も提供しており、Arch Linuxベースというよりは"S6ベース"といった印象だ。S6もObarunも決して初心者向きではないが、systemdにロックされない世界を望むユーザには、魅力的な選択肢となりうるかもしれない。

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