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2020年5月27日Walk-Away Settlement ―GNOME、パテントトロールとの訴訟から解放される

GNOME Foundaitonは5月20日(米国時間⁠⁠、2019年9月からRothchiled Patent Imaging LLC(RPIL)およびその代表者であるLeigh Rothchildなる人物からGNOMEの画像管理ツール「Shotwell」に関する特許侵害訴訟を起こされていた件が解決したことをアナウンスした。

自身では開発や製造などの事業活動をいっさい行わないが、第三者から買い上げた特許を盾に、他社に対して多額のライセンス料の支払いを要求したり、訴訟を起こして和解金/賠償金を獲得しようとする企業や個人を「パテントトロール(patent troll⁠⁠」と呼ぶ。今回は典型的なパテントトロールであるRPILが、資金的体力にあまり余裕のないオープンソース組織であるGNOMEを提訴した案件だっただけに心配する声も多かったが、どうやら"Walk-Away Settlement" ―訴えた側が訴訟を一方的に取り下げ― で和解となったようだ。

Patent case against GNOME resolved -GNOME

GNOME Foundationのリリースによれば、GNOMEはRPILから特許に関するあらゆるクレームから免除され、かつ訴訟を提起されないという条項が明記された和解契約書を受け取ったとしている。加えて、RPILとLeigh Rothchildは現在のOpen Source Initiativeが承認するオープンソースライセンスの下にあるいかなるソフトウェアに対しても同様の権利放棄を行い、今後はRPIL側から同様の特許侵害訴訟が他のオープンソースに対してなされないことが約束されたとしている。

GNOME FoundaitonのエグゼクティブディレクターであるNeil McGovernは「この案件を終わらせることができて非常にうれしく思う。これをもって我々はふたたびフリーソフトウェアデスクトップの開発に注力できるようになり、すべてのフリーなオープンソースソフトウェアに対しても将来にわたって安全を約束することができた」とコメントしている。

また、Leigh Rothchildは「今回の争点について有効的な解決に至ったことを喜んでいる。私はこれまでつねにオープンソースソフトウェアのイノベーションとその開発者をサポートしてきており、そのイノベーションとアダプションを奨励するものだ」というコメントを出している。

GNOME Foundationは和解条件に関しての詳細は語っていないが、すくなくとも今後、GNOMEをはじめとするOSI傘下のオープンソース組織がこのパテントトロールから訴えられるリスクはなくなったことは間違いない。

RPILとLeigh Rothchildは2019年9月にGNOME Foundationに対し、Shotwellが提供するいくつかの機能(カメラからのインポート、ソーシャルへの投稿、写真のフィルタリング、モバイルデバイス間での共有など)がRPILが所有する特許を侵害しているとしてアメリカ合衆国カリフォルニア北部地区地方裁判所にGNOME Foundaitonを提訴した。GNOME側は1ヵ月後の2019年10月にこの事実を明らかにし、⁠まったくもって事実無根。これはGNOME/Shotwellだけの問題ではなく、すべてのオープンソースプロジェクトに関わる問題だ」として戦う姿勢を見せていた。

GNOME files defense against patent troll -GNOME

GNOME Foundationは訴訟費用を集めるために「GNOME Patent Troll Defense Fund」を立ち上げ、4,143名の有志から15万ドル以上の寄付を集めたほか、ニューヨークに本拠を置く多国籍法律事務所のShearman & Sterlingからプロボノ(弁護士による無償の社会貢献)の支援を受けて訴訟にあたったとしている。

膨大な知財が存在するIT業界は、もともとパテントトロールのターゲットになりやすい傾向にあるが、ソースコードを公開し、第三者の自由な利用を認めるというモデルを実現しているオープンソースも、しばしばパテントトロールの攻撃対象となってきた。今回のGNOMEの訴訟も和解に至ったとはいえ約10ヵ月もの時間を要しており、関係者への負担は決して小さくない。GNOMEのケースが今後、似たような案件に対する備えとなるといいのだが。

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