Linus Torvaldsは8月24日(米国時間)、2020年10月のリリースに向けて開発中の「Linux 5.9」において、カーネルエンジニアのGustavo Silvaの修正パッチをマージした。このパッチではカーネル全体で使われていた2484もの「/* fall through */」および類似のコメント部分をすべて「fallthrough;」にリプレースしているほか、不要なfall-throughの削除も行われている。
Linuxカーネルのメインライン開発では、今回のパッチを提供したSilvaを中心に、switch文のコメントとして記述されるさまざまな"fall-through"(「/* Fall through */」「/* fall through */」など)を統一する努力が続けられてきた。C言語で認められている"暗黙のフォールスルー(implicit fall-through)" - switch文で各case文の最後にbreakを記述しないスタイルは、開発者が意図的にbreakを記述しなかったのか、それとも単に記述忘れなのか、その判断があいまいになりやすく、バグも発生しやすい。Linuxカーネルではコーディングをコンパクトにし、開発者の負荷を軽減することを目的に、GCC 7から実装された暗黙のフォールスルーに警告を出す「-Wimplicit-fallthrough」機能(フォールスルーさせたいcase文の最後に属性を記述)をベースにした「fallthrough;」マクロ(pseudo-keyword)を採用している。