The Linux Foundationは11月17日(米国時間)、開催中のオンラインカンファレンス「KubeCon North America 2020」において、MozillaやSamsungなどが主導してきたオープンソースプロジェクト「Servo」を今後The Linux Foundationがホストしていくことを明らかにした。
- Open Source Web Engine Servo to be Hosted at Linux Foundation -The Linux Foundation
- Servo's new home -Servo Blog
Servoは2012年にMozillaが実験的に開発をスタートさせたRust言語ベースのWebエンジンで、メモリ安全性やパフォーマンス、高度な並列処理、省電力といった点で高く評価されてきた。またLinux、macOS、Windowsとクロスプラットフォームで動作するだけでなく、AndroidやOculus、Microsoft Hololensなどもサポートするプラットフォームの幅がひろいことも特徴のひとつである。これまでMozillaのほか、Samusung、Three.js、Futurewei(米国にあるHuaweiのR&D部門)、Let's Encryptなどが開発に参加し、開発をリードしてきた。
MozillaのChief Operating OfficerであるAdam Seligmanは「Mozillaはオープンソースムーブメントのチャンピオン企業のひとつであり、インターネットがすべての人にとってオープンでアクセシブルな場所であり続けるよう、情熱をもってソフトウェアを開発するコミュニティをまとめることにずっと尽力してきた。今回、ServoがMozillaから卒業し、The Linux Foundationへと移管されることをうれしく思っている。Servoという技術が発展し、未来のWebベースのイノベーションにパワーを与えることができる場所だからだ」とコメント、またThe Linux Foundationのシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャであるMike Dolanは「Servoはもっとも将来有望でモダンかつオープンなWebエンジンであり、アプリケーションのビルドやWebテクノロジによるイマーシブな体験の提供にすぐれている。そしてそれらの特徴の多くはRsutプログラミング言語によってもたらされている。我々はこの重要なプロジェクトをこれから数十年に渡ってサポートし持続していくことを非常に楽しみにしている」と語っている。
MozillaがRustをThe Linux Foundationへと寄贈した背景には、新型コロナウイルスの影響による業績悪化がある。Mozillaは8月にCEOのMitchell Bakerの名前で250名の従業員のレイオフと60名の配置転換、さらに台北オフィスの閉鎖を伝えている。Servoもこの影響を免れず、プロジェクトを維持するためにはThe Linux Foundationへの移管が最上と判断されたとみられる。新しいホームを得たServoだが、「(プロジェクトの)ボードメンバーや委員会のメンバーは変わるが、我々のハイレベルなゴールは変わらない。ハイパフォーマンスで安全なレンダリングエンジンをブラウザに埋め込み、Webアプリケーションに安全を提供していく」と語っており、今後もRustのアドバンテージを活かした進化を目指していく。
- Message to Employees from Mitchell Baker -The Mozilla Blog(PDF)