Red Hatは4月27日(米国時間)、オンラインで開催された年次カンファレンス「Red Hat Summit 2021」において、米ボストン大学とのパートナーシップ強化を発表した。Red Hatは5億5519万ドル(約607億円)分のソフトウェアサブスクリプションをボストン大学に寄付するとともに、2017年にRed Hatが同大学に投資して設立された「Red Hat Collabotatory at BU」に新たに2000万ドル(約22億円)の追加投資を行う。
- Red Hat and Boston University Announce Major Partnership to Advance Open Hybrid Cloud Research and Operations at Scale
今回のサブスクリプション提供により、ボストン大学の研究者は今後3年間に渡って以下のソフトウェアへのアクセスが可能になる。
- Red Hat Enterprise Linux
- Red Hat OpenShift
- Red Hat OpenStack Platform
- Red Hat Virtualization
- Red Hat Ceph Storage
ボストン大学は「Mass Open Cloud」「New England Research Cloud」「Northeast Storage Exchange」「Open Cloud Testbed」「Open Storage Network」など、オープンソーステクノロジをベースにした多くのクラウドイニシアティブに関わっているが、これらのイニシアティブにも本サブスクリプションプロブラムが適用される。また、ボストン大学がメンバーとなっている「Massachusetts Green High Performance Computing Center(MGHPCC)」の他のメンバー(米ハーバード大学や米マサチューセッツ工科大学など)も本サブスクリプションプログラムを利用することができる。
ノースカロライナ州ローリーに本社を構えるRed Hatは米東部の大学との結びつきが強く、ボストン大学をはじめとするアカデミア発のITプロジェクトを数多く支援し、成果を挙げてきた。たとえばMOCがRHELやOpenShiftといったテクノロジをベースにハイブリッドクラウド基盤を構築し、その上に「ChRIS Research Integration Service」と呼ばれるWebベースの医療画像プラットフォームをデプロイした環境をボストンチルドレンズホスピタル(Boston Childern's Hospital)に提供、診療現場の医師がより正確で迅速な意思決定を行うことを可能にしている。今回のボストン大学へのサポート拡大は、AIや先端テクノロジーの分野で多くの人材と研究成果を抱える東部アカデミアとのパートナーシップをより強化し、次世代テクノロジを支えるインフラベンダとしての地位を確立する狙いがあるとみられる。