Ubuntu Weekly Topics

2008年3月21日号GNOME 2.22のリリース、Hardy Heronのベータ版、Techincal BoardとMOTUミーティングの議事録

GNOME 2.22がリリースされました

3月13日にGNOME 2.22がリリースされました。主な変更点は次の通りです。

  • ウェブカメラを利用するアプリケーションであるCheeseがGNOMEアプリケーションに加わりました。これにより、初期インストール状態から追加のアプリケーション(例えばcamoramaやxawtv)をインストールしなくても、⁠ドライバが対応していれば)ウェブカメラを使って写真や動画の撮影が行えます。Cheeseは7.10でもcheeseパッケージをインストールすれば利用可能です。
  • Metacityがウィンドウの合成(compositing)をサポートするようになります。ただし、初期状態では無効になっていますし、Ubuntuの場合はハードウェア性能を満たしていればCompizを使うので、現在のところは目立った変更点ではないかもしれません。
  • ネットワーク透過な仮想ファイルシステムとしてGVFSが導入されました。これは、今回のリリースにおけるもっとも大きな変更点の一つで、Nautilusの可能性を大幅に拡げることになります。ネットワーク越しにファイルシステムにアクセスしたり、CDのオーディオトラックやデジタルカメラの写真を簡単に表示したり、外部デバイスの自動マウントに対応したりと、新機能に加えて他のアプリケーションとあわせれば可能だった従来の機能も、簡単に利用可能になりました。ただ、フォントディレクトリ(fonts://)やテーマディレクトリ(themes://)にアクセスする機能は現在のところ利用できなくなっています
  • Totem(動画プレイヤー)はDVDの再生がより便利になりました。さらに、AdobeのプロプライエタリなFlashプレイヤーをインストールしなくてもFlashが再生できるようになり、プラグインを使ってYouTubeを再生できるようになりました。
  • その他、Evolutionの改善、Hardy HeronのAlphaリリースの際に紹介した世界時計やVNCクライアントの追加など、さまざまな追加・修正が行われています。

GNOMEは6ヶ月ごとに最新版をリリースしています。Ubuntuでは常に最新のGNOMEを利用できるように、GNOMEがリリースされる月(3月と9月)の一ヶ月後をリリースの月と設定しています。つまり、GNOMEの新機能はUbuntuの最新版における新機能となることを意味します。

Hardy Heronのベータ版に向けて

今週の木曜日、つまり20日(日本時間で金曜)にHardy Heronのベータ版がリリースされます。それにあわせて先週の13日にBeta Freezeが行われました。これ以降、mainとrestrictedへのパッケージのアップロードはリリースチームによるチェックに通過しない限りはアップロードされません。universeとmultiverseへのアップロードは従来どおりの措置がとられます。また、17日以降はデイリービルドも停止されました。Beta Freezeは他のフリーズと違い、ベータ版がリリースされた時点でフリーズが解かれます(アルファ版の⁠soft freeze⁠と同じです⁠⁠。

ベータではより多くの人がテストに参加することを見越して、Caspar Clemens Mierauは自身のブログの中でHaving a Hardy day - Ten steps helping you not to have a hard time upgrading(7.10からのアップグレードで躓かないための10個の手順)を記しています。また、公式フォーラムにあるHow To Test Hardy, File Bugs and Repair Breakage(Hardyをテストし、バグを登録・修正する方法)も参考になるでしょう。

Hardyは未だテスト版で、バグを洗い出し修正することを目的にリリースされています。そのため、突然起動できなくなるような問題が生じることもあります。実際、先週末にはglibcをアップグレードするとbashやsudoなどが実行できなくなるという問題が生じ、個々のシステムを復旧させるには大変面倒な手段を講じないといけないという状態に陥りました。あくまでテスト目的においてのみ、利用するようにしてください。

Technical BoardとMOTUのミーティング

Ubuntuの技術的な方向性を決定するTechnical Boardは11日のミーティングで、以下の内容を決定しました。

  • 8.04の初期設定では、Trackerの自動索引作成(automatic indexing)「オフ」になります。これは、自動索引作成のシステムに与える負荷が思ったよりも大きく、Trackerを使うにしろ使わないにしろ、7.10のように初期設定で「オン」にしておくのは影響が大きすぎると判断されたためです。Tracker自体は必要な機能であると考えられているので、デフォルトでインストールされます。
  • 8.04以降に公式にリリースされるアーキテクチャはi386とamd64の二種類だけとなりました。7.10までリリースされていたSPARC版についてはビルド環境を維持し、従来のリリースに対するアップデートの提供はこれからも続けていきますが、8.04以降に関しては公式リリースとしてSPARC版を提供することはありません。

MOTUでは、14日のミーティングで、以下の決定を行いました。

  • UbuntuメンバでないものがMOTUになる場合、MOTU協議会では同時にUbuntuメンバになることを承認できるようになりました。
  • バージョンのアップグレードやバグの修正を行うためのパッケージが作成されて、Ubuntu Universe Sponsors(u-u-s)に登録されているパッケージを集中的に審査する、⁠u-u-s day⁠を行います。Hardyリリースより前に行う予定で、具体的な日程については後日アナウンスされます。

Ubuntu Weekly Newsletter #82が発行されました

3月19日に、Ubuntu Weekly Newsletter #82が発行されました。

コミュニティニュース

前述のHardy Betaの話に加えて、各コミュニティの投稿をリアルタイムで表示するUbuntustats.comが復旧した話、いくつかのLoCoチームに関するニュース、Ubuntu Classroomの紹介が行われています。

Ubuntu ClassroomはUbuntuコミュニティへの参加方法を教えるプロジェクトです。これまで、Ubuntu Open WeekやUbuntu Developer Weekで行ってきたIRCによるセッションをもっと頻繁に行うことを目的として、昨年末に発足しました。

フォーラムニュース

今週のインタビューでは、経験豊富なITマネージャで3児の父で、そしてフォーラムの管理者でもあるKiwiNZにインタビューを行っています。また、今週のチュートリアルでは、Ubuntuがインストールされたハードディスクの内容をそっくりそのまま別のハードディスクへコピーする方法が紹介されています。

今週のセキュリティアップデート

3月12日から3月16日までに、下記のセキュリティアップデートが行われました。

3月15日

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