Ubuntu Weekly Topics

2008年8月15日号Global Bug Jam、SRUの人材募集、LaunchpadのAPI、OSCのプレゼン資料と動画、次期Ubuntuのテーマ候補

Global Bug Jam

8月8日から10日までの間、世界中(主にアメリカ)GlobalBugJamが開催されました。これは、世界中のLoCoチームがそれぞれ期間中の適当な時期に集まり、集中的に放置されているバグを整理・修正しようというイベントです。特に、普段はバグ修正を行ったことがなく、二の足を踏んでいるような人に、経験を積んでもらう意味もあります。

開催の結果、853個にも及ぶバグが何らかの形で整理・修正されました。各地における開催の様子はこちらから確認することができます。

SRUの確認をしてくれる人を募集しています

Ubuntuでは一度リリースを行うと、そのリリースにおけるパッケージのバージョンアップは原則として行いません。これは、不用意なバージョンアップがシステムを不安定にさせる要因となるからです。しかし、バグやセキュリティ脆弱性の修正は必要です。このため、そのようなパッケージに対してはStable Release Updateという特別な審査プロセスを用意し、より慎重にアップデートが行われています。修正が行われたパッケージは最後の段階で、リリース名-proposedにアップロードされます(8.04だとhardy-proposed⁠⁠。ここで1週間以内に、2人以上が確認し誰も問題ないと判断すれば無事アップデートが行われます。

このSRUプロセスで確認を行う人材が不足しているようです。Ubuntuの品質管理を担当するUbuntu QAチームのJordan Manthaは、より多くの人に確認作業に参加し、迅速にSRUが行われるように、SRUプロセスで必要な作業内容などを上記メールの中で案内しています。

Launchpad API用Pythonライブラリ

以前もお伝えしたLaunchpad APIの続報が出ています。それによると、現時点ではLaunchpadのベータテスタ向けに基本的なアクセス用のPythonライブラリが公開されている状態のようです。今後はより多くのLaunchpadの機能へアクセスできるようにしたあとに、一般ユーザでも利用できるライブラリにし、バグ追跡やコード管理、プロジェクト運営に必要最低限な機能が一通り揃えば正式リリースされる予定です。

ライブラリの基本的な利用方法はこちらを、さらに詳細なリファレンスについてはこちらをご覧ください。ただしリファレンスのアドレスは暫定的なものであり、今後ドキュメントの充実にあわせて移動される予定です。

また、これまで明言されてこなかった、ロゴとニュースのライセンスも明記されるようになりました。それによると、Launchpadの新しいロゴ(Gem)はCreative Commons BY ND 2.0、ニュースはCC BY 2.0の形で提供されるようです。ロゴの改変は原則として認められませんが、必要に応じて別途相談に応じる用意はあるようです。たとえば、ブラウザを使わずにLaunchpadの機能を利用するためのアプリケーションであるLeonovは、自身のロゴでGemを利用しているために、さっそくロゴ改変の許可を得ています。

オープンソースカンファレンスの動画と資料

7月18日、19日に行われたオープンソースカンファレンス 2008 Kansaiでは、Ubuntu Japanese Teamも「Ubuntu 45 分間クッキング」というタイトルでチームメンバのhitoさんが講演を行いました。その際のプレゼン資料と数浜さんが撮影された講演の動画ファイル(Ogg/MP4形式、45分)公開されています

次期Ubuntuのテーマ候補

現在開発中の次期UbuntuであるIntrepid Ibexでは、アイコンや壁紙、テーマなどのアートワークを刷新する予定です。アートワークチームのメーリングリストやWikiでは、連日のように新テーマの候補が提案・修正されています。Fabrizio Ballianoは、その中でも完成度の高い5つのテーマを自身のブログで紹介しています。新しいテーマがこの中から採用されるとは限りませんが(それどころか8.04から変更しない可能性もあります⁠⁠、数ヶ月後のIntrepidのリリース時にはこれまでとはガラリとイメージの変わったUbuntuを見ることができるかもしれません。

help.ubuntu.comとwiki.ubuntu.comの認証

6月末にhelp.ubuntu.comMoinMoin 1.6ベースに更新されLaunchpad OpenIDを使ってログインできるようになりましたが、8月7日あたりにwiki.ubuntu.comも同様のアップデートが行われたようです。このため、8月7日以降にWikiにアクセスした場合は、一度ログインしなおす必要がありますので、注意してください。

Ubuntu Weekly Newsletter #103が発行されました

8月10日に、Ubuntu Weekly Newsletter #103が発行されました。

コミュニティニュース

IntrepidのAlpha 4がまもなく(8月14日に)リリースされること、前述のSRUに対する人員募集の話に加えて、Ubuntu Stadioも開発を手伝うメンバを募集している話とカーネルチームの新しい試みを紹介しています。

Ubuntu Studioはマルチメディア制作環境に特化した、Ubuntu公式派生ディストリビューションの一つです。リポジトリはUbuntuと共有していますが、独自のアートワークやインターフェース、パッケージ構成を採用しています。そんなUbuntu Studioではより多くのアプリケーションを収録し、ヘルプドキュメントを充実させるために新しい貢献者を募集してます。詳しいことは上記メールをご覧ください。

また、カーネルチームは新しい試みとして、Intrepidのリリースまで既存の最新の安定版カーネル(2.6.26)に対する修正を行うだけでなく、開発版カーネルのパッケージを作成することも始めたようです。ただし、あくまでメインは安定版カーネルの修正であり、開発版カーネルの利用は推奨されていません。

その他のニュース

インターネット上でUbuntuに言及する記事として、以下の記事が紹介されています。

  • 先週開催されたLinuxWorld Conference & Expoにて、Ubuntu 8.04 LTSのデスクトップ版が⁠Best Desktop Solution⁠を受賞したことを伝える、LinuxWorldのプレスリリース
  • LinuxWorldの中でもCanonicalのブースが、より多くの観衆を引き寄せていたことを紹介する、BetaNewsの記事
  • Canonicalが立て続けにスモールビジネス向けの製品を手がける企業との提携を発表したことをうけて、Ubuntuのエンタープライズ市場への進出の可能性を推測するCIOの記事
  • OSCONに参加した記者の経験をもとに、Ubuntuをはじめとするオープンソースコミュニティの成長や業界に与える影響を報告するCIOの記事
  • オープンソースコミュニティのリーダーたちからマネージメントについて学ぼうという記事の中で、Ubuntuのマーク・シャトルワースに言及しているCIOのAdvice & Opinionの記事
  • 最近定番となってきた、古いPCにXubuntuを入れて再生しようというCAPE COD TIMESの記事

フォーラムニュース

今週のインタビューは、フォーラムのユーザではありませんが、Ubuntu Europe, Middle East and Africa (EMEA) Membership Councilの一員であり、Ubuntu UK Podcastやコミュニティの形成に幅広く貢献しているAlan Pope (popey)にインタビューを行っています

また、今週のチュートリアルでは、Ubuntuのシステムの状態を知るための、そしてファイルシステムを操作するためのさまざまなコマンドが紹介されています。印刷して手元に置いておくと、大変便利でしょう。

今週のセキュリティアップデート

8月6日から8月12日までに、セキュリティアップデートは行われませんでした。

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