Ubuntu Weekly Topics

2010年7月2日号10.10のAlpha2・ARM向け10.07?MaverickのHundred Paper Cuts・Ubuntu Developer/User Days・FCM#38・UWN#199

10.10のAlpha2

Ubuntu 10.10 ⁠Maverick Meerkat⁠のAlpha2のリリースのための準備が行われ、間もなくリリースとなっています。Alpha2は日常的な用途やテストに推奨されるバージョンではなく、基本的には開発者向けのリリースです。なんらかの重要なアプリケーションがある等、特異な事情がなければアップグレードする必要はないでしょう。

Alpha段階で進捗を評価することは困難ですが、少なくともAlpha2段階のマイルストーン上、大きな開発上の問題は見られません。例年のリリースと異なり、Ubuntu 10.10は「10月末」ではなく、10月10日にリリースされます。平時よりも20日程度開発にかけられる時間が短くなるため、開発の進度が非常に重要になります[1]⁠。Alpha1・Alpha2のリリースが無事に進行していることは、良い兆しと言えるでしょう[2]⁠。

Ubuntu 10.07 for Smartbook

Ubuntuのリリースは通常4月と10月(6ヶ月おき)に行われ、バージョン番号の小数点以下には「リリースされた月」が入り、⁠X.04」もしくは「X.10」となるのが基本です。しかし、⁠ARM搭載Netbook」⁠Smartbook)向けに、⁠10.07」という特別バージョンがリリースされる可能性が出てきました[3]⁠。

現時点では不確定な情報が多いため、筆者は明確なことをお伝えできる状態にありませんが、ARM搭載デバイスについてなんらかの期待;) ができそうです。

Hundred Paper Cuts for Maverick

最近のUbuntuリリースでは、⁠Hundred Paper Cuts」注4と題して、⁠すぐに直せる」⁠ユーザーの使い勝手を損ねる」バグを100個(ぐらい)修正する、というプロジェクトが行われています。9.10・10.04と続いたこのプロジェクトは、10.10のリリースでも同様に行われる予定で、すでに約100個のバグが登録され、対応が始められています。今回の対象は次の通りです。

  • Nautilus
  • Evolution, gedit, OOo.org
  • Empathy, Gwibber
  • その他いろいろ
  • Shotwell(F-Spotの代わりとなる予定の写真管理ソフトウェア)
  • Rhythmbox, Totem, Pitiviその他
  • GTK, NotifyOSD, 各種ダイアログ
  • その他いろいろ(二度目)
  • Software Center(そのもの)
  • Software Center(でインストールできるもの)

具体的なバグの内容については、次回以降順次お伝えする予定です。

Ubuntu Developer Week & Ubuntu User Days

Ubuntuコミュニティのお祭り、Developer WeekとUser Daysの時期になりました。いずれも主な対象は一般的なユーザーで、Developer Weekは「開発に関わろうと思っている人が、既存の開発者に質問をする」ための、User Daysは「Ubuntuを使い初めて間もない人が、色々なノウハウを尋ねる」場所です。

いずれもIRC上、かつ英語と若干の障壁はありますが、開発に興味がある方やUbuntuの使いこなしに困っている方は、ぜひ覗いてみてください。

Ubuntu Developer Week
Ubuntu User Days

Full Circle Magazine #38

Ubuntuに関する記事を集めた月刊のWebマガジン、Full Circle Magazineの38号がリリースされました。主な内容は次の通りです。

  • コマンド操作のすすめ。今回はdiffのとり方・パッチの作り方を学びます。
  • Pythonプログラミング入門。前回に続き、XMLファイルの取り扱いを学びます。
  • HowTo: 仮想化入門。VirtualBoxの使い紹介です。
  • HowTo: ScribeFireによるblogへの記事投稿方法など。
  • Ubuntu 10.04のレビュー。
  • などなど。

Ubuntu Weekly Newsletter #199

Ubuntu Weekly Newsletter #199がリリースされています。

その他のニュース

  • GIMP 2.6.9を10.04で利用する方法
  • vmbuilderを用いて、⁠Ubuntu ServerがインストールされたHDDイメージ」作成する方法。一般的なP2V(Physical to Virtual)とは逆に、V2P(Virtual to Physical)を行ないます。

今週のセキュリティアップデート

usn-927-4:nssのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-3555を修正します。
  • CVE-2009-3555は、TLS・SSLv3のプロトコル上に存在する脆弱性です。秘匿された通信時にrenegoが行われた場合、中間者攻撃により平文の挿入を許します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、セッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)してください。
usn-927-5:nsprのアップデート
  • Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。usn-927-4で更新されたnssとバージョンを合わせるためのアップデートです。
  • 詳細はLP#599920を参照してください。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、nsprを利用しているアプリケーション(Firefox等)を再起動してください。一般的にはセッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)するのが確実です。
usn-930-1:Firefox・xulrunnnerのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 8.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Firefox 3.6.6に相当するアップデートです。
  • 修正されたセキュリティ問題については、mozilla-japan.orgのリリースノートを参照してください。
  • 備考:Firefox 3.0.x系のサポート終了に伴い、8.04のFirefoxは3.0.xから3.6.6へ更新されます。9.04・9.10用のFirefox 3.6.6相当アップデータは、Firefox 3.0=>3.6系の移行に伴う問題の洗い出しが完了した時点でリリースされる予定です。
  • 対処方法:アップデータを適用した上で、Firefoxと、Xulrunnerを利用している全てのアプリケーションを再起動してください。
  • Firefox 3.6.6へのアップデートにおいて、Ubuntu 8.04では次の点に注意してください。
  • Fireofx 3.6ではSun Java Plugin 5系は動作しません。icedtea-java7-pluginもしくはsun-java6-pluginを利用してください。
  • アップデート後、ユーザーが個別に導入した各種拡張のうち、Firefox3.6系に対応していないものが機能しなくなる可能性があります。また、3.6系に対応している拡張については、アップデートするか確認されます。
  • 8.04環境でFirefox 3.6系を使い始めると、Ubuntu 8.10へアップグレードするとブラウザ環境が破綻する可能性があります。Ubuntu 8.10はすでにサポートを終了しているバージョンですので、基本的には10.04へLTS Upgradeを行うか、あるいは8.10から即座に9.04へアップグレードしてください。
  • 3.6系列では、今のところGNOMEの設定画面からフォント表示の設定を変更することができません。LP#559149を参照してください。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
  • helix-playerがFirefox 3.6ではサポートされません。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
  • totemのプラグインとしてRealAudioを利用することができません。RealAudioを利用したい場合、コミュニティによってサポートされる(universeの)パッケージを利用してください。
  • xine-plugin・gxinepluginが機能しません。これらはアンインストールが推奨です。
  • Epiphanyを利用している場合、外部アプリケーション(例:Totem)が呼び出された際、自動的に終了しなくなります。LP#599796を参照してください。この問題はUbuntu上のFirefox 3.6環境に普遍的なものではなく、8.04 LTSに限定された問題です。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
usn-930-2:apturl, Epiphany, gecko-sharp, gnome-python-extras, liferea, rhythmbox, totem, ubufox, yelpのアップデート
  • Ubuntu 8.04において、Fireofx 3.6系/Xulrunner 1.9.2への更新に伴って行われるアップデートです。
  • 備考:これらのアプリケーションではXulrunnerをなんらかの形で利用している・あるいは関与しているため、Firefox 3.6系への更新時に同時に更新する必要があります。
  • 対処方法:アップデータを適用した上で、これらのアプリケーションを再起動してください。

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