10.10のAlpha2
Ubuntu 10.10 “ Maverick Meerkat” のAlpha2のリリースのための準備 が行われ、間もなくリリースとなっています。Alpha2は日常的な用途やテストに推奨されるバージョンではなく、基本的には開発者向けのリリースです。なんらかの重要なアプリケーションがある等、特異な事情がなければアップグレードする必要はないでしょう。
Alpha段階で進捗を評価することは困難ですが、少なくともAlpha2段階のマイルストーン 上、大きな開発上の問題は見られません。例年のリリースと異なり、Ubuntu 10.10は「10月末」ではなく、10月10日にリリースされます。平時よりも20日程度開発にかけられる時間が短くなるため、開発の進度が非常に重要になります[1] 。Alpha1・Alpha2のリリースが無事に進行していることは、良い兆しと言えるでしょう[2] 。
[1] Ubuntuの開発者や翻訳作業者はたいてい「月末にリリース」というパターンに慣れてしまっているので、9月末の時点で「まだ一ヶ月ある」という誤った認識をもつ可能性があります。あらためて計算すると、「 リリースまであと3ヶ月強」
Ubuntu 10.07 for Smartbook
Ubuntuのリリースは通常4月と10月(6ヶ月おき)に行われ、バージョン番号の小数点以下には「リリースされた月」が入り、「 X.04」もしくは「X.10」となるのが基本です。しかし、「 ARM搭載Netbook」( Smartbook)向けに、「 10.07」という特別バージョンがリリースされる可能性 が出てきました[3] 。
現時点では不確定な情報が多いため、筆者は明確なことをお伝えできる状態にありませんが、ARM搭載デバイスについてなんらかの期待;) ができそうです。
Hundred Paper Cuts for Maverick
最近のUbuntuリリースでは、「 Hundred Paper Cuts」( 注4 )と題して、「 すぐに直せる」「 ユーザーの使い勝手を損ねる」バグを100個(ぐらい)修正する、というプロジェクトが行われています。9.10・10.04と続いたこのプロジェクトは、10.10のリリースでも同様に行われる予定で、すでに約100個のバグが登録 され、対応が始められています。今回の対象は次の通りです。
Nautilus
Evolution, gedit, OOo.org
Empathy, Gwibber
その他いろいろ
Shotwell(F-Spotの代わりとなる予定の写真管理ソフトウェア)
Rhythmbox, Totem, Pitiviその他
GTK, NotifyOSD, 各種ダイアログ
その他いろいろ(二度目)
Software Center(そのもの)
Software Center(でインストールできるもの)
具体的なバグの内容については、次回以降順次お伝えする予定です。
Ubuntu Developer Week & Ubuntu User Days
Ubuntuコミュニティのお祭り、Developer WeekとUser Daysの時期になりました。いずれも主な対象は一般的なユーザーで、Developer Weekは「開発に関わろうと思っている人が、既存の開発者に質問をする」ための、User Daysは「Ubuntuを使い初めて間もない人が、色々なノウハウを尋ねる」場所です。
いずれもIRC上、かつ英語と若干の障壁はありますが、開発に興味がある方やUbuntuの使いこなしに困っている方は、ぜひ覗いてみてください。
Ubuntu Developer Week
Ubuntu User Days
Full Circle Magazine #38
Ubuntuに関する記事を集めた月刊のWebマガジン、Full Circle Magazineの38号 がリリースされました。主な内容は次の通りです。
コマンド操作のすすめ。今回はdiffのとり方・パッチの作り方を学びます。
Pythonプログラミング入門。前回に続き、XMLファイルの取り扱いを学びます。
HowTo: 仮想化入門。VirtualBoxの使い紹介です。
HowTo: ScribeFireによるblogへの記事投稿方法など。
Ubuntu 10.04のレビュー。
などなど。
Ubuntu Weekly Newsletter #199
Ubuntu Weekly Newsletter #199 がリリースされています。
その他のニュース
GIMP 2.6.9を10.04で利用する方法 。
vmbuilderを用いて、「 Ubuntu ServerがインストールされたHDDイメージ」を作成する方法 。一般的なP2V(Physical to Virtual)とは逆に、V2P(Virtual to Physical)を行ないます。
今週のセキュリティアップデート
usn-927-4 :nssのセキュリティアップデート
Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-3555 を修正します。
CVE-2009-3555 は、TLS・SSLv3のプロトコル上に存在する脆弱性です。秘匿された通信時にrenegoが行われた場合、中間者攻撃により平文の挿入を許します。
対処方法:アップデータを適用の上、セッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)してください。
usn-927-5 :nsprのアップデート
Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。usn-927-4 で更新されたnssとバージョンを合わせるためのアップデートです。
詳細はLP#599920 を参照してください。
対処方法:アップデータを適用の上、nsprを利用しているアプリケーション(Firefox等)を再起動してください。一般的にはセッションを再スタート(一般的にはログアウトして再ログイン)するのが確実です。
usn-930-1 :Firefox・xulrunnnerのセキュリティアップデート
Ubuntu 8.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Firefox 3.6.6に相当するアップデートです。
修正されたセキュリティ問題については、mozilla-japan.orgのリリースノート を参照してください。
備考:Firefox 3.0.x系のサポート終了に伴い、8.04のFirefoxは3.0.xから3.6.6へ更新されます。9.04・9.10用のFirefox 3.6.6相当アップデータは、Firefox 3.0=>3.6系の移行に伴う問題の洗い出しが完了した時点でリリースされる予定です。
対処方法:アップデータを適用した上で、Firefoxと、Xulrunnerを利用している全てのアプリケーションを再起動してください。
Firefox 3.6.6へのアップデートにおいて、Ubuntu 8.04では次の点に注意してください。
Fireofx 3.6ではSun Java Plugin 5系は動作しません。icedtea-java7-pluginもしくはsun-java6-pluginを利用してください。
アップデート後、ユーザーが個別に導入した各種拡張のうち、Firefox3.6系に対応していないものが機能しなくなる可能性があります。また、3.6系に対応している拡張については、アップデートするか確認されます。
8.04環境でFirefox 3.6系を使い始めると、Ubuntu 8.10へアップグレードするとブラウザ環境が破綻する可能性があります。Ubuntu 8.10はすでにサポートを終了しているバージョンですので、基本的には10.04へLTS Upgradeを行うか、あるいは8.10から即座に9.04へアップグレードしてください。
3.6系列では、今のところGNOMEの設定画面からフォント表示の設定を変更することができません。LP#559149 を参照してください。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
helix-playerがFirefox 3.6ではサポートされません。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
totemのプラグインとしてRealAudioを利用することができません。RealAudioを利用したい場合、コミュニティによってサポートされる(universeの)パッケージを利用してください。
xine-plugin・gxinepluginが機能しません。これらはアンインストールが推奨です。
Epiphanyを利用している場合、外部アプリケーション(例:Totem)が呼び出された際、自動的に終了しなくなります。LP#599796 を参照してください。この問題はUbuntu上のFirefox 3.6環境に普遍的なものではなく、8.04 LTSに限定された問題です。この問題は将来的なアップデートで解決される予定です。
usn-930-2 :apturl, Epiphany, gecko-sharp, gnome-python-extras, liferea, rhythmbox, totem, ubufox, yelpのアップデート
Ubuntu 8.04において、Fireofx 3.6系/Xulrunner 1.9.2への更新に伴って行われるアップデートです。
備考:これらのアプリケーションではXulrunnerをなんらかの形で利用している・あるいは関与しているため、Firefox 3.6系への更新時に同時に更新する必要があります。
対処方法:アップデータを適用した上で、これらのアプリケーションを再起動してください。