Ubuntu Weekly Topics

2011年11月4日号UDS-P・Oroject Moonshot・10.04 Netbook/ARMのEOL・FCM#53・UWN#239

UDS-P

Ubuntuの開発における「スタート地点⁠⁠、Ubuntu Developer Summitがやってきました。UDS-Pは10月31日~11月4日にかけて行われ(=今週⁠⁠、Ubuntu 12.04 LTS ⁠Precise Pangolin⁠の開発についてさまざまな内容が話し合われます。

UDSは基本、Mark Shutlleworthのキーノートから開始されるのですが、今回のキーノートには大きな発表が含まれていました。具体的には、⁠次の次のLTS(14.04 LTS)では、電話機やタブレット・テレビやスマート家電などの分野にも進出する」というものです。実際にこれを実現するにはWaylandへの移行[1]⁠、Unityの改善など(注2⁠⁠、非常に多くの課題がありますが、この戦術がうまく進むとCanonicalの収益事業としても機能するようになるため、Ubuntuの今後にとっては良い方向に進むはずです。

キーノートの実際の内容は、YouTubeで見ることができます。

UDSで話し合われる内容の多くは、Blueprintで確認できます。また、参加者のblogからも確認できるでしょう。今回はDay 1/Day 2の記事を並べておきます。

UDS-P day 1
UDS-P day 2

Project Moonshot

ARM Serverプロダクトに本格的なモデルがリリースされました。HPのリリースした「Redstone」は、通常のブレードサーバー同等のサーバーユニット1つに72ノードのARM Serverを集約する、非常に高密度なサーバーを実現するものです。これはHPの推進するProject Moonshotの一部として展開されます。現状ではあくまで「開発用」プラットフォームとして提供されるものの、エンドースメントにRed Hat・Canonicalの名前があり、ARM搭載Linuxサーバーの今後に大きな影響を与えそうです。

Redstoneに搭載される⁠EnergyCore⁠⁠ ECX-1000は、⁠これまでのARMに不足していた要素」を追加したCortex-A9(Quadcore)を中心にしたSoCです。ARM SoCは基本的にI/Oバンド幅が小さく、⁠比較的」バンド幅の大きいMarvell系SoCでもPCI-Expressが数レーン、かつメモリバンド幅が32bitと、一般的なサーバー用途に適用するには性能不足が問題になります。また、メモリもECCで保護されていないこと、メインメモリの容量が小さいこと、利用可能なストレージ用バスが少ないことといった、ARM製品共通の問題を解消し、そのままサーバー用途に利用できるようにしたデザインがECX-1000と見ておけば良さそうです。ただし、大きなメモリ空間や相互接続バスの面ではやや弱く、いわゆるHPC向けのモデルではありません。チップレベルでのブロックダイアグラムやインターフェースの詳細はLinuxForDevices.comの情報を参照してください。

10.04 ARM/NetbookのEOL

Ubuntu 10.04のARM向けリリースとNetbook Editionが10月29日にEOLしました。ARM版・Netbook Editionを利用しているユーザーは10.10に更新(もしくは10.10にした後に11.04・11.10まで更新)してください。10.04の他のリリース(Desktop・Serverほか)はLTSなので、少なくとも2013年10月まで継続的にサポートされます。

Full Circle Magazine #54

Ubuntuを中心にした月刊Webマガジン、Full Circle Magazineの#54がリリースされています。主な内容は次の通りです。

  • コマンド入門:vimとgvimの使い方
  • Pythonによるプログラミング入門:GUIの作成
  • HowTo:FreeMindによるマインドマップの作成
  • HowTo:バックアップ戦術の立て方/その2
  • HowTo:Ubuntuをビジネスや教育に使う
  • HowTo:Apt-Cacher-NG
  • Review:Synergyによる複数マシン併用環境
  • Q and A
  • などなど

UWN#239

Ubuntu Weekly Newsletter #237がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1249-1:BackupPCのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001468.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS・8.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • CVE-2011-3361は、BackupPCが出力するエラーメッセージに含まれる一部の文字列が適切にエスケープされておらず、XSSが可能な脆弱性です。この問題はUbuntu 11.10には影響しません。
  • ログファイルビューワーにも同様の問題がありました。この問題は11.10にも影響します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1250-1:Empathyのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001469.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-3635, CVE-2011-4170を修正します。
  • EmpathyがAdiumテーマを表示する際、ニックネーム部分に適切なエスケープを行っておらず、XMPPグループセッションに対するXSSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、セッションを再起動(一度ログアウトして再ログイン)してください。

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