Ubuntu Weekly Topics

2012年1月13日号Ubuntu TV・「HDMI端子に挿す」コンピューター・Kubuntu/Xubuntu/Edubuntu 12.04 LTS・消費電力比較・U1TB Preview・Byobu 5・UWN#247

Ubuntu TV

先週の1月6日号で言及したCES 2012で公開されるものの正体は、⁠テレビ向けUbuntu」であるUbuntu TVコンセプトデザインでした。Unityベースのホーム画面に加えて、各種機能がLauncherに、そしてビデオがLensで検索できるようになっています。

Oneiric環境があれば体験可能です。

その他、関連資料は以下のサイトを参照してください。

「HDMI端子に挿す」コンピューター各種

CES 2012で公開されたデバイスの中には、⁠超小型で、HDMI端子にそのまま挿せる」コンピューター、というものが含まれています。サイズは大振りなUSBメモリ程度で、HDMIから、あるいはUSB経由で給電する、というものです。

具体例のひとつとして、⁠ Cotton Candy ⁠(prototype) と呼ばれるデバイスの紹介がいくつかサイトで確認できます。ハードウェアスペックは以下のようなものです。

  • CPU Core: Cortex A9 Dual Core Processor
  • Memory: 1GB
  • Video: ARM "Utgald" Mali-400MP
  • Wifi(802.11b/g/n) + Bluetooth 2.1
  • Storage: microSD
  • HDMI

性能としてはおおむねPandaBoardやD2Plugといった「1世代前のARM搭載デバイス」⁠デュアルコアCPU+512MB~1GB Memory)をそのまま小型化したものです。また、同時期に以下のような類似デバイスが公開されています。

必ずしもUbuntuが入る(or入っている)とは限りませんが、業界内で「HDMI端子に直接挿すコンピューター」⁠これは応用すると、ノートPCのmini-PCIeスロットに装着できるコンピューターにすぐに化けます)が流行ることになりそうです。こうしてARMデバイスの選択肢が増えると、⁠ARMで動かすOS」としてのUbuntuの価値が大きくなるため、Ubuntuユーザーとしては歓迎すべき動きと言えるでしょう。

Preciseの開発

Kubuntu/Xubuntu/Edubuntu 12.04 LTS

Ubuntuのリリースにおいては、⁠Ubuntu本体はLTSだが、特定の派生**buntuについてはLTSではない」という判断が下されることがあります。しかし、12.04ではKubuntu/Xubuntu/Edubuntuの3つすべてがLTSとして認定され長期サポートの対象となることが確定しました。

リリースごとの消費電力の比較

12.04 LTSの大きな目標として、⁠これまでのリリースで実現されていたが、うまく性能を発揮しきっていないもの」をブラッシュアップする、という作業があります。起動時間の高速化(これはLucid/Maverickが最速で、徐々に遅くなっています)と同じように、消費電力もこれまでのリリースと比較して、⁠これまででもっとも良いリリース」に持ち込もうとする作業が行われています。

各種グラフや分析アプローチなどを含め、目を通してみると面白そうです。

U1DB Technical Preview

Ubuntu OneのCouchDBに代わる実装として開発されているU1DBのTechnical Previewが開始されました。ドキュメントも準備されています。

12.04のネットワークスタックの話

Ubuntu 12.04で利用できる予定のネットワークスタックがまとめられています

MaaS

Canonicalの開発する新しいソフトウェアとして、⁠クラウドの動的リソース管理を物理マシン上に実現する」注1MaaS(Metal as a Service)というプロダクトの開発が始まっています。具体的にどのようなものなのか、12.04に間に合うのかといった点は不明ですが、うまく実装されると非常に強力な機能になりそうです。

Byobu 5

Ubuntu Serverの特徴の一つ[2]⁠、Byobuの新バージョンがリリースされました。今回のバージョンの最大の特徴は、tmux対応の強化です。

旧バージョンでも「byobu-tmux」コマンドを利用することでtmuxベースのbyobuを利用することができましたが(つまり毎回byobu-tmuxを叩く必要があった⁠⁠、Byobu 5からはbyobu-select-backedコマンドで設定を行うことで、⁠byobu」コマンドだけでtmuxベース版を利用することができます。その他、ショートカットキーの充実なども有用な変更となりそうです。

12.04にはこのバージョンが搭載される見込みです。

Launcher Reveal Prototype

12.04版のUnity Launcherのテスト版が公開されています。あわせて、⁠ランチャーの挙動はどうあるべきか」という考察と実装方針も記載されています[3]⁠。

インストーラーの暗号化・RAID対応(12.10以降)

ディスク全体の暗号化というリクエストに対して、⁠12.04ではUbiquityには大きな変更は行わないんだよ、安定性とバグ修正に専念する予定だからね」という回答が返っており、12.04で採用される見込みは低そうです。

ちなみに、⁠/homeはもう暗号化できるよね、ディスク全体を暗号化するメリットは何?⁠IRCで教えてもらったんだけど、IPsecやSSLのクライアント証明書は/homeには保存されないよね⁠きちんと保護するなら、少なくとも/varと/tmpは暗号化しないといけないし、/etcも危ないかもしれないよね」というやりとりの末、なんとなく12.10では対応しようかという流れになています。

10.04 LTS/10.10用Firefox

これまでFirefox 3.6系が採用されてきた10.04 LTSと10.10においても、ラピッドリリースへの乗り換えが決定しました。現時点で移行する場合はFirefox 9に更新されることになります。実施は1月17日からです。

10.04 LTSを利用しているユーザーはFirefoxのアドオンの確認を、10.10を利用している方は11.04(あるいはそこからさらに11.10)への更新を含めて対応を検討してください。

Ubuntu User Days

2011年12月23日号でお知らせしたUbuntu User Daysこの週末に開催されます。興味のある方は参加してみてください。

UWN#247

Ubuntu Weekly Newsletter #247がリリースされました。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1317-1:Ghostscriptのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001537.html
  • Ubuntu 10.10・10.04 LTS・8.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2008-3520, CVE-2008-3522, CVE-2009-3743, CVE-2010-4054, CVE-2011-4516, CVE-2011-4517を修正します。
  • gsの処理上、悪意ある加工の施されたJPEG-2000ファイル・TrueTypeフォント・Type 2フォントによる任意のコード実行の可能性がありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1318-1:Linux kernel (FSL-IMX51)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001538.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のi.MX51カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2011-1162, CVE-2011-2203, CVE-2011-4110を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1319-1:Linux kernel (OMAP4)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001539.html
  • Ubuntu 11.04用のOMAP4カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2011-1162, CVE-2011-2203, CVE-2011-3353, CVE-2011-4110を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1320-1:FFmpegのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001540.html
  • Ubuntu 10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-3504, CVE-2011-4351, CVE-2011-4352, CVE-2011-4353, CVE-2011-4364, CVE-2011-4579を修正します。
  • FFmpegがMatroskaファイル・QDM2ストリーム・VP3/VP5/VP6ストリーム・VMDファイル・SVQ1ストリームを開いた際、任意のコードを実行される恐れがありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1306-1usn-1306-2:Firefoxのセキュリティアップデート・Mozvoikko/ubufoxのアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001541.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001542.html
  • Ubuntu 11.10・11.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-3658, CVE-2011-3660, CVE-2011-3661, CVE-2011-3663 CVE-2011-3665を修正します。Firefox 9に更新されます。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Firefoxを再起動してください。
  • 備考:Firefox 9.0.1に更新されるに伴いMozvoikko/ubufoxも更新されます。
usn-1322-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-January/001543.html
  • Ubuntu 11.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2203, CVE-2011-4077, CVE-2011-4081, CVE-2011-4110, CVE-2011-4132, CVE-2011-4330を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

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