Ubuntu Weekly Topics

2012年3月23日号UnityのUI設計・Mythbuntuのリリース方針・non-smp PowerPC Kernelのメンテナンス終了・Upstart 1.5・Ubuntu Magazine Japan Vol.06のPDF公開・UWN#257

12.04の開発

12.04は二度目のBetaFreeze(Beta2リリースのためのmainのfreeze)がかかりました。この時期特有のイベントである、予想外のトラブルに注意してください。現状としては、パッケージ構成が壊れたりUIFreeze Exceptionが大量に投げられたり、このタイミングでWubiのインストール機能を止めたいという話が出てきたり[1]と、比較的のんびりした光景が広がっています。リリースノートの準備も開始されています。ここから全くの新機能が搭載されることはないはずです[2]⁠。

UnityのUI設計・タスク切り替え編

12.04のUnityは、Super(Windows)キーと数字・Super+S・Super+Wといったキーの組み合わせで、ウインドウを一覧・切り替えできるようになっています。Super+数字はLauncherに表示されているアプリケーションごと・Super+Sはワークスペースの一覧・Super+Wは現在のワークスペースにあるウインドウの一覧の表示に利用します。Unity環境ではAlt+Tabは、いくつかあるウインドウ切り替え方法の一つでしかありません。

こうしたデザインについて、CanonicalのDesign Teamが背景と設計を説明しています。コンセプトデザインにあたる文書も公開されています。Unityの操作をより深く知りたい、あるいは改善案を出したい、といった場合、下調べのための資料として使えるはずです。

Mythbuntu のリリース方針の変更

Ubuntuの「テレビ録画・視聴に特化したFlavor」である「Mythbuntu」のリリース体制が少々変化しそうです。Mythbuntuはその名の通り、UbuntuにMythTVを追加・統合したディストリビューションです。

これまでMythbuntuは「すべてのUbuntuリリースで」ISOイメージをリリースしてきていましたが、12.04以降、LTSリリースでのみISOイメージをリリースすることになりました。日本国内特有の事情まではカバーしていないのでユーザーは少ないかもしれませんが、利用している場合は少しだけ気をつけておくと良いでしょう[3]⁠。

重要な点は次の通りです。

  • Mythbuntuのリリースそのものは止まらない。あくまでISOイメージとしてのリリースが止まるだけで、mythbuntuを構成する主要パッケージは非LTSバージョンでも提供する。Ubuntuをインストールした後で、mythbuntu-control-centreなどのパッケージを追加することで、Mythbuntu同等の状態は維持できる。
  • ISOイメージのリリースには、テストやバグフィックスをはじめとした、さまざまな作業が必要になる。Mythbuntu Teamの人員は少ないので、毎リリースごとにISOイメージをリリースすることは困難だと判断した。

なお、最近LTS化に手を上げたUbuntu Studioの方は、説得力の不足や体制作りの面から、まだ承認が出ていません

non-smp PowerPC Kernelのメンテナンス終了

Ubuntuでは、⁠コミュニティによるメンテナンス」により、PowerPC(おもにPS3と古いMac)をサポートしています。しかし、PowerPCには歴史的経緯から、以下の3種類のカーネルが存在しています。

  • linux-image-powerpc : 非SMP
  • linux-image-powerpc-smp : SMP
  • linux-image-powerpc64-smp : SMP w/64bit

現在のところ、⁠時代遅れでない」と言えるのはSMPとSMP w/64bit番で、非SMPが適用されるハードウェア、というのはほとんどありません[4]⁠。また、これも歴史的経緯から、カーネルのビルドはCanonicalのマシンで行われています。結果として、⁠使われる可能性が低いカーネルをビルドするために、ビルドに非常に時間がかかってしまう」というよろしくない事態が起こっています。カーネルビルドは現在のUbuntuの宿命的な問題で[5]⁠、12.04がリリースされる前にできるだけ減らしておこう、というのが現在の流れです[6]⁠。

こうした背景のもと、PowerPCの非SMPカーネルは12.04ではメンテナンスされないことになりそうです。

12.04のOpenStackパッケージ

OpenStackは、Eucalyptusなどと同じような、⁠Amazon EC2+S3」互換(AWS環境ではなくあくまでEC2+S3互換)のプライベート/パブリッククラウドを自作するためのソフトウェアです。Ubuntuでは、UECの内部実装の一つとして利用されています。また、OpenStackの開発リファレンス環境がUbuntuであること・OpenStackの開発方針やバージョンごとのネーミングがUbuntuと同じ(リリース毎にA/B/C……とフォネティック的なネーミングを使う)など、Ubuntuととても近しいソフトウェアです。

……しかしながら、12.04段階ではuniverse扱いで、Canonicalによるサポートが得られる状態になっていません。そんな中、3.2.1-1を入れたいので協力して欲しい、という問いかけが行われました。現状では情報に不備がある(理由が明確でない)ため処理は止まっていますが、理由がきちんと説明されれば3.2.1-1が入ることになりそうです。

Upstart 1.5

Upstart 1.5のリリース準備が行われています。合計8個のパッチがマージされ、チェックが終わり次第リリースされるでしょう。1.5には大きな目玉と言えるものはありませんが、⁠ディスクへの書き込みが可能になるまで」のジョブハンドリングの強化が特徴です。12.04へのマージは微妙なところですが、大きな修正ではなく、副作用も小さいので危険性は小さいでしょう。

Ubuntu Magazine Japan Vol.06のPDF公開

日本唯一のUbuntu専門誌、Ubuntu MagazineのVol.06のPDF公開が行われています。CC-BY-NC-SAライセンスの範囲で自由に利用できます。

UWN#257

Ubuntu Weekly Newsletter #256がリリースされています。

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