Ubuntu Weekly Topics

2013年4月25日号Ubuntu 13.04 Raring Ringtailのリリースとアップグレード時の注意、UWN#313

Ubuntu 13.04 “Raring Ringtail”のリリース

2013年4月25日(UTC⁠⁠、Ubuntu 13.04 ⁠Raring Ringtail⁠リリースされました。Ubuntuのリリース方式から来る制限から、日本語版のリリースノート(12.04ではテクニカルオーバービュー)は翻訳作業中です[1]⁠。

13.04の導入は、次の方法で行えます。

  • 新規にインストールする。
  • インストールCDを用いてアップグレードする。
  • 12.10からネットワーク経由でアップグレードする。

基本的に、⁠現時点での」アップグレードは必須ではありません。現在12.10を使っている場合は12.10のサポート期間が切れるまで(=2014年4月まで)にアップグレードを行えばよい[2]ため、まだまだ検討やテストの時間があります。Ubuntuはリリース直後に思わぬバグが見つかる可能性が高いため、予備環境がない場合はまだ様子を見ても問題ないでしょう。もちろん、予備の環境がある、あるいは「トラブルが起きることこそ新バージョンの醍醐味」といった人柱精神にあふれる方は、リリース直後にアップグレードしてバグ出しに協力するというのも一興です。

13.04へのアップグレードを検討する場合、考慮すべきは主に次の点です。

  • 13.04は、12.10のブラッシュアップ版です。すでに12.10を利用している場合、ほとんど操作感の差はないでしょう。大きく変化したのはシャットダウンダイアログだけです。
  • 12.10からの大きな改善点は、メモリフットプリントの削減(いくつかのx64環境でテストした範囲では、インストール直後、かつシステム起動直後の比較であれば、消費メモリが800MB前後から500MB前後へ削減されています)と、Unityの全体的な高速化です。大きな変化がほとんどないこともあり、⁠きびきびした12.10」という扱いが可能です。
  • 13.04から、非LTSリリース(Standardリリース)のサポート期間は9ヶ月になっています。
  • 大きなデメリットはほとんどありません。カーネルの差による動作の違いと、サポート期間の削減にだけ注意すれば、新バージョンを堪能できるでしょう。

全体的に13.04には破壊的な変更が加えられていませんので、おおむね「注意すべきはサポート期間と不幸な例外のみ」という認識で問題ないでしょう。

ただし、サポート期間だけは注意が必要です。繰り返しになりますが、13.04のサポート期間は9ヶ月です。これまでの非LTSのサポート期間は18ヶ月(1年半)だったため、半減する計算です。

既存のリリースのサポート期間は削減されませんので、⁠12.10は2014年4月まで、13.04は2014年1月まで」がサポート期間です。12.10からアップグレードすると、サポート期間が減ってしまうことになります。

これは言い換えると、13.04以降では「次のバージョンがリリースされてから3ヶ月以内にアップグレードする必要がある」ということです。13.04を導入した場合、必然的に13.10への更新も確定します。12.10は次のLTSとして予定されている14.04 LTSリリース後にサポート期間が切れるため、⁠12.10に留まり、14.04 LTSリリース後に更新する」という選択肢が取れます。環境に変化を起こしたくない場合(たとえば企業ユースなど)では、アップグレード計画を立てて変化を乗りこなす・12.04 LTSへ乗り換える・12.10のまま利用する、といった対応が必要になります。

……いずれにせよ、予想外のトラブルに巻き込まれても問題ないように、あらかじめ予備の環境を準備したり、重要なデータをバックアップしてからアップグレードするようにしてください。

UWN#313

Ubuntu Weekly Newsletter #313がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1804-1usn-1804-2:IcedTea-Webのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-April/002085.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-April/002088.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-1926, CVE-2013-1927を修正します。
  • IcedTeaのWebブラウザ上のアプレットにおいて、他のアプレットのアクセス可能な範囲にアクセスできてしまう問題と、いわゆる「GIFAR」攻撃が可能な問題を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、利用しているWebブラウザを再起動してください。
  • 備考:usn-1804-1としてリリースされたパッケージにはJNLPでSSL通信を行えなくなるバグがあったため、usn-1804-2がリリースされています。
usn-1805-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
usn-1806-1:OpenJDK 7のセキュリティアップデート

おすすめ記事

記事・ニュース一覧