Ubuntu Weekly Topics

2013年5月17日号vUDS 13.05と13.10の新機能・8.04 LTS/10.04 LTS(デスクトップ)/11.10のEOL・UWN#316

Ubuntu Developer Summit 13.05(vUDS 13.05)

13.10の開発が動き始めました。5月14~16日にかけて、オンラインベースのUbuntu Developer Summit 13.05(vUDS 13.05)開催されています。UDSはUbuntuの開発者が一同に会し、⁠これから何を実現すべきか」を話し合うための場です。これまでは半年に一度、実際に集まって開催していたのですが、Ubuntu Touch等、コンピューティングにまつわる変化に対応するため、⁠3ヶ月に一度、オンラインで」行う形式に変更されています。vUDS 13.05は、オンラインベースになってから2度目のUDSです。

UDSでは、次のUbuntuが備えるべき機能を、実装方法を含めて話しあったり、あるいは開発プロセスの改善、あるいはコミュニティとの関わり方など、さまざまな点について話し合いが行われます。13.10の開発期間には8月頃にもvUDSが開催される予定ですが、8月は開発に大きな影響を与える時期としては遅く、今回のUDSで議論された新機能が13.10のかなりの部分を構成することになります[1]⁠。

UDSの様子は、ライブストリーミングやその録画、あるいはEtherpad、Blueprintといったオンラインコラボレーションツールを経由して、世界中から閲覧したり、議論に参加することもできます。もちろん議論のログは公開されます。この連載では、議論が完了した議題について、筆者が興味を持ったものをいくつか紹介していきます。13.10でどのような機能が実現されるかの参考になるでしょう[2]⁠。なお今回はいつもの分野別の紹介とは異なり、⁠曜日ごと」の紹介です。今回は初日、5月14日に話し合われた項目を見ていきます。

UDSは、開発者向けプレビュー的な新機能のデビューの場でもあります。Canonicalが開発しているディスプレイマネージャー、Mirの現状についても明らかにされました。⁠とりあえず動いている」というレベルではありますが、Galaxy Nexus上とMacbook Pro上で動作している動画が公開されています。

  • client-s-xorg-general:Saucyで利用するXスタックについて話しあおう。タッチパネルサポートの強化・Radeon UVD(radeonsi)やIntelのClearVideo(Intel VA-API)のような動画再生サポートや、Mirのための準備を進めよう。また、NVIDIAのPrime(OptimusのLinux実装)への対応も進める必要がある。
  • client-1305-content-mgmt-picking:UnityのDashにおいて、各アイテムを列挙する方法を再検討しよう。過去に使ったファイルの取り扱いを「うまく」実現することは、メディアデータやコンテンツの取り扱い上、非常に重要な要素だ。そもそもどのように動作すべきなのかから考えてみよう。
  • servercloud-s-cloud-images-lts-enablement:Cloud Imageに、12.04用の新しいカーネルを組み込んだものを準備しよう。12.04のデフォルトカーネルは古いので、CephやBtrFSをうまく使うことができない。ユーザーに「うまく」マイグレーションしてもらうための方法もあわせて検討しよう。
  • servercloud-s-openstack-havana:13.10向けのOpenStackパッケージを準備しよう。時期的には⁠Havana⁠を搭載してリリースできるはずだ。Havanaが要求する周辺パッケージも含めて更新し、13.10と12.04で利用できるようにしよう。
  • appdev-1305-ui-toolkit-theming:Ubuntu SDKを利用したアプリケーションのデザインを見なおそう。
  • client-1305-background-task-service:Ubuntu Touch環境で、⁠バックグラウンドに回るアプリケーション」の挙動を検討しよう。たとえばメッセージングを担当するアプリケーションは基本的に常に動いている必要があるし、動画再生も同じように、バックグラウンドでも動作し続けてくれなくては困るし、ダウンロードやアップロードを伴うアプリケーションもそうだ。同時に、これらはユーザーの意思に基づいて停止したり、個別に呼び出せたりする必要がある。これらをどのように操作できるようにするべきか、そして、どのように各アプリケーションは振る舞うべきかを検討しよう。
  • client-s-upgrade-testing-with-utah:アップグレードテストをUTAHベースに更新しよう。テストの効率が大幅に改善されるはずだ。
  • servercloud-s-cloud-vagrant:Vagrantにcloud-initサポートを追加し、Cloud Imageをより簡単に扱えるようにしよう。
  • appdev-1305-sdk-roadmap:Ubuntu SDK 1.0にむけて、機能を追加しよう。各種ボタンやGUI部品を追加し、APIを整理し、U1DBをAPIから扱えるようにしよう。
  • community-1305-ubuntu-website-planning:Ubuntu.comを翻訳できるようにしよう。
  • servercloud-s-openstack-hypervisor:Ubuntu上のOpenStackで扱える仮想マシンハイパーバイザーを増やそう。XenのXCPや、LXCの動作、そしてVMwareの動作テストや文書の整理をしよう。
  • client-1305-mir-thrash-testing:Mirのテストのための仕組みとシナリオを検討しよう。メモリが少なくなった状態での動作や、極端なUI操作など、さまざまな「ストレス」をテストしよう。
  • foundations-1305-kernel:13.10で利用するカーネルを検討しよう。今のところ3.11が9月中旬にリリースされる予定で、ぎりぎり1ヶ月が確保できる。3.11はARMサポートが強化される予定なので、もしも-genericカーネルにSamsung Exynos5のサポートを追加するのであれば、3.11にするのがいいだろう。あわせて、サポートすべきFlavorも検討しよう。今のところは-genericと、ti-omap4はすでに13.10のリポジトリに投入してある。Ubuntu TouchをGalaxy Nexus・Nexus 4/7/10で動作させる以上は、これらのデバイスもサポートする必要がある。4と7はすでにサポート済、10は間もなく、Galaxy Nexusは作業中だ。

8.04 LTS・10.04 LTS(デスクトップ⁠⁠・11.10のEOL

2013年5月9日をもって、8.04 LTS・10.04 LTS(デスクトップのみ、サーバーはあと2年間サポート⁠⁠、11.10がEOLしました。8.04 LTS・11.10は全パッケージの更新が終了したことになります。これらのバージョンを利用している場合は、速やかにサポートが継続しているバージョン(12.04 LTS以降のリリース)へ更新してください。

10.04 LTSは、mainに含まれるサーバー向けパッケージのみ、あと2年間のサポートが提供されます。デスクトップ用途に利用している場合はLTS Upgradeで12.04 LTSへ更新してください。サーバー環境で利用している場合は、各パッケージのサポート状況を確認の上、サポートが切れたパッケージを自力でメンテナンスするか、アンインストールしてください。

英語版アナウンスが以下にあります。

日本語アナウンスが必要な場合、以下を利用してください。

UWN#316

Ubuntu Weekly Newsletter #316がリリースされています。

その他のニュース

  • 12.04 LTSと13.04のベンチマーク比較
  • Ubuntuベースのカスタムディストリビューションを簡単に作れる、Ubuntu builderの2.4.0がリリースされています。
  • Intelの6x35系無線LANへの対応パッチがQuantalに投入されました。更新版カーネルパッケージのリリースは間もなくですが、⁠6x35シリーズの無線LANが認識されない」という現象に遭遇した場合、カーネルのアップデートだけで解決できるようになる見込みです。Raring/Saucyにも同様のパッチが適用される見込みです。
  • あなたの端末に「突然の死」をもたらすbashスクリプト
図1 ⁠突然の死」をもたらすecho-sd(編注:本日は17日です)
図1 「突然の死」をもたらすecho-sd

今週のセキュリティアップデート

usn-1820-1:gpsdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-May/002103.html
  • 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2038を修正します。
  • 不正なGPSデータを受け取った場合、メモリ破壊を伴うクラッシュが発生する可能性がありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1821-1:telepathy-idleのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-May/002104.html
  • Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2007-6746を修正します。
  • telepathy-idleがSSL接続を行う際、サーバー証明書を適切に検証していませんでした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、セッションを再起動(一度ログアウトして再ログイン)してください。
usn-1822-1:Firefoxのセキュリティアップデート
usn-1823-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート

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