Ubuntu Weekly Topics

2013年8月16日号Ubuntu Edgeの価格改定・4Hごとのビルド・Ubuntu搭載低価格コンピューターSOL』・13.10のデフォルトブラウザー・UWN#328・329

Ubuntu Edge、さらに価格調整

世界最大規模のクラウドファンディング案件、Ubuntu Edgeの1台あたりの価格が変更になりました。新しい価格は$695(国際送料+$30)で、ファンド開始時点の価格に比べると見劣りするものの、ハイエンドスマートフォンとしては十分に「お手頃」な価格となっています。ファンディング期間は8月21日までですので、Ubuntu Edgeに興味がある場合は締め切りまでに投資するか否かを判断する必要があります。

これに伴って、企業向けの8万ドルコースは100台から115台にパワーアップしています。投資金額としては決して小さな額ではないものの、うまくUbuntu Edgeが発売されればCanonicalによる導入支援のみならず、とても話題になるというメリットがあります。予算に余裕がある、あるいはスマートフォンの大規模導入の予定のある企業では検討の余地があるかもしれません。

とはいえ、泣いても笑ってもあと7日弱、Ubuntu Edgeがどこまで予算を確保できるのか(そして、目標を達成できるのか⁠⁠、注目すべき一週間が始まります。

Dailyから4Hへ

Ubuntu TouchのDaily Build周期が、24時間から4時間に変更になりました。これにより、開発者が容易にTouch環境のデバッグができるようになるとともに、利用するNexus 7のNANDの寿命の耐久テストを行うこともできるようになります。

Ubuntu搭載低価格コンピューター「SOL」

Ubuntuを搭載した「太陽電池で動作する」コンピューター、SOLがアナウンスされました。これは「大型ディスプレイを備えたNetbook」とでも言うべきPCに、太陽電池による駆動能力を追加したものです。

主な仕様は次の通りです。

  • Operating System: Ubuntu
  • CPU: Intel Atom D2500 1.86 GHz
  • Chipset: Intel 945GSE + ICH7M
  • Graphics: Built-In Intel GMA3600
  • HDD: 2.5⁠⁠ SATA HDD 320GB
  • RAM: 2-4GB DDRIII SDRAM
  • Display: 13.3" LCD, WXGA, 1366 x 768, Glare panel (with anti-glare film)
  • Camera: 3MP
  • Audio: Realtek ALC661 HD Audio, Built-in 2 Speakers + Internal mic + 1/8⁠⁠ input
  • Peripherals: 10/100 Ethernet,3 x USB2.0, Headphone jack, HDMI, Card reader (SD/MS/MMC), Bluetooth 4.0
  • Modem: 3G/4G World/multimode LTE
  • GPS: gpsOne Gen8A
  • WiFi: MIMO 802.11b/gn (2.4/5GHz)
  • Battery Operating Time: 8 - 10 hours
  • FAQより抜粋:取り外し可能なソーラーパネルを搭載。満充電までの時間は2時間。通常のAC電源でも動作可能。
  • 通常モデルは$350、防水モデルは$400。

最大の特徴は、前出の通り「太陽光で動作すること」です。この種のデバイスは試作モデル(というか少量生産モデル)と量産モデルで実用上大きな差が出ることもあり、一概に「太陽光だけで動作できる」と断言するにはまだ時期尚早なものの、Atom D2500の消費電力は最大で10W、周辺回路や液晶などを含めてもトータル25W前後に収まるため、ソーラーパネルの面積と気象条件が確保できれば完全な太陽光動作も視野に入ってきます。

なお、あわせてデザインを揃えたスリーブとイヤフォンも販売されるようです。

仕様的には決してパワフルとは言えず(何より、CPUがAtom D2500=GPUがpoulsbo系のGMA 3600であるため、3Dデスクトップ周りの操作性はほとんど最低レベルです⁠⁠、重量も約2.27kgと軽量とは言えないものですが、電力事情が期待できない新興国や災害時の利用など、多くの可能性を秘めたプロダクトです。

13.10のデフォルトブラウザー

Saucyのデフォルトブラウザーに関する議論にある程度の決着が付きました。結論としては、⁠今回もFirefoxのまま進める」というものです。ただし、Chromiumへの移行は継続して議論される予定で、場合によっては14.04 LTSでいきなりChromiumへ移行、となる可能性もあります。

ある意味ではUbuntuのリリースではお馴染みの光景ではありますが[1]⁠、ニュアンスとしては「13.10でもなんとかFirefoxが勝利を収めた」といったところです。大物拡張の追加等は特に検討されていないので、少なくともブラウザー周りでは今回は大きな変化はなさそうです。

とはいえ、Saucyはシステム全体としてはMir/XMirの投入を含めて、非常に大きな変更が加わるリリースとなります。テストする場合はなるべく早期から、導入する場合はきちんと様子を見て、手戻りできるようにしてから、という慎重な対応が求められます。

UWN#328・329

Ubuntu Weekly Newsletter #328#329がリリースされています。

その他のニュース

  • Ubuntu Touchのカレンダー画面のモックアップ。
  • Ubuntu Touchの新しいロック画面……を模したAndorid用ロック画面。
  • Ubuntu Touch環境のinitrdのいじり方。ちょっとしたハックを加えたい時や、動作テストなどに便利です。
  • lspciやlsusb、lsmodなどのような「対象を一覧する」ためのツールの新しい仲間、lshdd。その名の通り、搭載されているHDDを一覧することができます。ファイルサーバーやメディアサーバーのような、多くのストレージを搭載するマシンでは非常に便利でしょう。特に、搭載バスとシリアル番号をあわせて確認できることで、故障時の対応が非常にやりやすくなるはずです。
  • UbuntuをターゲットにしたWebマガジン、Full Circle MagazineのInkscape特別版、Full Circle Magazine Inkscape Special Edition Volume 01がリリースされています。Inkscapeを用いた画像・ロゴなどの作成について学びたい場合、非常によい教材になるでしょう。

今週のセキュリティアップデート

usn-1908-1:OpenJDK 6のセキュリティアップデート
usn-1909-1:MySQLのセキュリティアップデート
usn-1910-1:Bindのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-4854を修正します。
  • Bindを外部からクラッシュさせることが可能な問題がありました。コンテンツサーバー・キャッシュサーバーいずれの場合にも攻撃が有効です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1911-1:Little CMSのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-4160を修正します。
  • LittleCMSにリンクしたアプリケーションをクラッシュさせられる問題が見つかりました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Little CMSにリンクしているアプリケーションを再起動してください。
usn-1912-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2164, CVE-2013-2232, CVE-2013-2234, CVE-2013-2237, CVE-2013-2851を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1913-1:Linux kernel (EC2)のセキュリティアップデート
  • EC2環境のUbuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2164, CVE-2013-2232, CVE-2013-2234, CVE-2013-2237, CVE-2013-2851を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1914-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1915-1:Linux kernel (Quantal HWE)のセキュリティアップデート
  • Ubuntu 12.04 LTS用の3.5カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1916-1:Linux kernel (Raring HWE)のセキュリティアップデート
  • Ubuntu 12.04 LTS用の3.8カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1917-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1918-1:Linux kernel (OMAP4)のセキュリティアップデート
  • OMAP4向けのUbuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1919-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 13.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1920-1:Linux kernel (OMAP4)のセキュリティアップデート
  • Ubuntu 13.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2852を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧