Ubuntu Weekly Topics

2013年8月30日号vUDS 13.08・Upstart 1.10・vCloud Hybrid Service上のUbuntu・UWN#331

vUDS 13.08

Ubuntuの開発の起点となるイベント、Ubuntu Developer Summit(vUDS 13.08)が開催されています。

こまでと同様、App Development(アプリケーション開発)/Client(デスクトップとUbuntu Touch)/Cloud & Server(クラウド関連+サーバー)/Community(コミュニティの組織化)/Foundations(インストーラーやカーネル、builddなどのコア)の5つのトラックに分けて、⁠Ubuntuを今後どうするべきか」⁠Ubuntuにどのような機能を搭載するべきか」が話し合われます。vUDSは、これまで「実際に開発者が一同に会する」というスタイルで行われてきたUDSのオンライン版という位置づけで、さまざまな手段(中心となるのは各開発者の自宅からのGoogle Hangout、補助としてEtherpad)でオンラインディスカッションが行われるイベントです。ここで決定した作業項目はある意味必達目標となるため、Ubuntuの今後を知る上でも重要な位置づけとなります。

会議は「room」という仮想的な部屋割りで行われ、この多寡で注力ポイントが分かります。今回のvUDSは「middle」タイミング、すなわちリリースとリリースの間に行われるものなので、次期リリースである13.10や、⁠その次」の14.04 LTSに直接かかわるアイデアはあまり多くなく、中長期的な目標やUbuntu Touch、開発プロセス・コミュニティなどに注力したものになりがちです。しかしながら、今回はそうした予想に反して、話題の中心にUbuntu Serverが取り上げられ[1]⁠、3部屋が割り当てられています。前回のvUDS 13.05ではServer Cloudは2部屋しかなかった(というか3部屋割り当たるのがかなりの異例)こともあり、重み付けの変化が分かります[2]⁠。

Server & Cloudについては10月リリース予定の13.10に関する議論がなぜか大量にノミネートされており、今更13.10のパッケージ構成などが議論されるあたりに若干の問題はありますがClientが14.04を見据えた議論を行なっていることに比べるとより問題が感じられる)Ubuntu独自機能のCharmの変化だけでなく、LAMPやMongoDBなどのなどの各種サーバーミドルウェア、仮想化やOpenStackなどに関して幅広く議論が行われています。

これから数回にわけてUDSで取り上げられた機能をお伝えしていきますが、まずはMark ShutltleworthとJono Baconによるキーノートをどうぞ。どちらも自宅のリビングからのHangoutなので、壊滅的に盛り上がらないのは仕様です。

なお、14.04 LTSでの最大の関心事になるであろう新世代のUnity(Unity 8)については、Jono Baconのblogにアルファプレビューが掲載されています。実環境で試す勇気や時間がない方は、こちらのスクリーンショットで感触を確認してみてください。

Upstart 1.10

Ubuntu 13.10で採用されるであろう新バージョンのUpstart、Upstart1.10がリリースされています。

一般的な利用での大きな変更はありませんが、service reloadを実行する際のシグナルを任意に変更できるようになったこと(これまではSIGHUPが暗黙で利用されていた⁠⁠、dconfの設定が変更されたことをイベントのトリガにできるようになったこと(upstart-dconf-bridge)が目玉です。

ユーザーに直接的に影響を及ぼすものではありませんが、dconf-bridgeを用いることで、デスクトップ上で特定の設定が変わった場合、自動的にプロセスをreloadする、ということが可能になっています。

vCloud Hybrid Service上のUbuntu

VMwareが提供するパブリッククラウドサービス、vCloud Hybrid Service(VMware vCloud)上で、Ubuntuが利用できるようになりました。vCloudはサービス基盤がVMwareそのものなので、すでにVMwareで構成した仮想マシンやvSphere上の仮想データセンターが存在する場合、⁠そのまま」クラウド上に移行できることを売りにしたIaaSサービスです。

これまでvCloudでサポートされていたOSはWindows ServerとCentOSのみでしたが、ここにUbuntuが加わった形になります。これそのものが大きな影響をもたらすことはありませんが、⁠既存のIT資産」の中にUbuntuが相応の割合で組み込まれている、ということを示しており、現在のUbuntuの立ち位置を象徴するできごとと言えるでしょう。

UWN#331

Ubuntu Weekly Newsletter #331がリリースされています。

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