Ubuntu Weekly Topics

2014年3月7日号14.04 Beta1のリリース・14.04におけるMySQL・App Developer Week・FCM#82・UWN#357

14.04 Beta1のリリース

Ubuntu 14.04 LTS⁠Trusty Tahr⁠Beta1が宣言されました。

「宣言された」と表現する理由は、Ubuntu(コミュニティ)的には、Ubuntu(フレーバー。Unityによるデスクトップ環境を提供するUbuntu Desktopや、サーバー版にあたるubuntu Server等)についてはAlpha・Beta・RC相当のリリースは行われず、Daily Buildを用いて開発を進めるためです。つまり、Ubuntu(フレーバー)では、いわゆる「ベータ版」のリリースは行われません。

Ubuntuコミュニティに属するUbuntu GNOMEやKubuntu、Xubuntu、Lubuntu等は「opt-in」方式(つまり主な開発者が希望するなら)ベータ版がリリースされます。

Ubuntu(フレーバー)のベータ版リリースは行われませんが、記事として取り上げるにはちょうど良いタイミングでもあり、各メディアこぞってスクリーンショットつきの特集を組んでいます。実際に試すだけの時間は取れない場合はこれらの記事を眺めてみても良いでしょう。

なお、記事を読む時間すらない場合は、14.04のデスクトップ環境におけるいろいろな改善のまとめを参照すると良いでしょう[1]⁠。

ただし、プロプライエタリソフトウェアを利用している、あるいはインフラの一部としてUbuntuを利用している、といった場合、今すぐにテストしてUbuntu側の問題点を洗い出し、パッチとともにバグレポートするのが無難です。あらゆるソフトウェアで普遍の「開発中に修正するのは簡単なものの、リリースされてからでは直せないバグ」に苦しまずに済むためには、今しかありません。リリース後に修正を入れるにはSRU Policyに基づいた、相応に慎重なプロセスを踏む必要があります。

14.04におけるMySQL

Ubuntu 14.04におけるMySQLの位置づけについて、Mark Shuttleworthがあらためてコメントしています。⁠OracleとUbuntuのMySQL teamで友好的な話し合いを行い、信頼関係のもとにMySQLを採用し続けられるという判断をした。また、upstreamのリリースを確実な形でUbuntuのユーザーに届ける体制も作れるかもしれない」というもので、⁠少なくとも14.04ではMySQLがデフォルト採用で、5.6が利用される』という強い方向付けを与えるものとなっています。なお、これをMySQL側から見た記事がこちら

App Developer Week

3月3日~7日にかけて、開発者のためのオンラインイベント、App Developer Week開催されています。今回はHTML5PackagingQMLの3分類で、特にQMLについては大量のセッションが行われます。

App Developer WeekはUbuntu Developer Summitと同じ仕組みを用いたオンラインセッションで、チャット(IRC)経由での質問も可能となっています。第一線の開発者に疑問をぶつけることも可能です。日本からはセッション時間の関係でリアルタイム参加はかなり困難ですが、開催後は動画がそのまま掲載されるので、後日確認することもできます。

Full Circle Magazine #82

Full Circle Magazineの#82がリリースされています。

Full Circle Magazineは電子書籍として刊行されるUbuntu専門誌です。比較的平易な英語と大量のスクリーンショットで構成されているため、英語の勉強にも利用できるでしょう。Ubuntu Oneアカウントがあれば、ボタンひとつで手元に転送できます。また、PDF形式なのでたいていの端末で閲覧できるでしょう。現実逃避から英語の勉強・情報収集まで、さまざまな用途に活用できるはずです。

UWN#357

Ubuntu Weekly Newsletter #357がリリースされています。

その他のニュース

  • 14.04用カーネルにBeagleBoneのオーディオとビデオのパッチ。ビルドオプションを変更しただけで大したメンテナンスコストではないので受け入れられたという可能性もありますが、BeagleBoneをお持ちの場合はなんとなく期待していても良いかもしれません(とりあえず、自分でカーネルをビルドすればUbuntuは問題なく動きます⁠⁠。
  • Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000の特殊キーをX上で利用する方法
  • Ubuntuで簡単にデスクトップウィジェットを作る方法。
  • 「Ubuntu Touch」⁠と呼ばれる部分)構成と、将来的なUbuntuの構成について。情報としては「これまでの整理」といったものですが、注目するべきは「将来的な構成」にまつわる記述において、⁠14.10」という表現が避けられ、⁠Future Ubuntu Stack」と書いてあることです。本文でもUbuntu Touch相当と通常のUbuntuの違いについて触れた後、⁠once Unity 8 comes to the desktop, you will have the same OS」⁠参考訳:Unity 8がデスクトップにもたらされた後、これらは同じOSとなります)という表現を使っており、⁠Unity 8がいつデスクトップに来るか」という部分については明言はされていません。
  • Pitiviの開発者がフルタイムで開発作業を行うための寄付金募集をしたところ、gstreamerの開発者達からPitiviに2500ユーロが寄付されたという話。

今週のセキュリティアップデート

usn-2122-1:FreeRADIUSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-February/002416.html
  • Ubuntu 13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-4966, CVE-2014-2015を修正します。
  • 期限切れのパスワードを用いた場合に誤って認証を通過させてしまう問題と、rlm_papハッシュ処理を行う際にデーモンがクラッシュする問題を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2123-1:fileのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-February/002417.html
  • Ubuntu 13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-1571, CVE-2014-1943を修正します。
  • fileコマンドを特殊な加工が施されたファイルに対して実行した場合、最悪の場合リソースの過大消費によりシステムが機能停止する問題を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2124-1:OpenJDK 6のセキュリティアップデート
usn-2125-1:Pythonのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-March/002420.html
  • Ubuntu 13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-1912を修正します。
  • socket.recvfrom_into()関数の利用において、入力によってはメモリ破壊を伴うクラッシュが発生することがありました。悪用により、潜在的な任意のコードの実行の可能性を含むクラッシュを発生させることが可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2127-1:GnuTLSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-March/002421.html
  • Ubuntu 13.10・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0092を修正します。
  • 特定のエラー処理ルーチンにおいて、不適切な証明書を適切なものと誤認することがありました。これにより悪意ある加工の施された特定の証明書による中間者攻撃が可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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