Ubuntu Weekly Topics

2018年7月27日号Ubuntu Communitheme "Yaru"・PowerShellのSnapパッケージ・オープンソースカンファレンス2018 Kyoto

Ubuntu Communitheme "Yaru"

Ubuntuのデスクトップテーマ[1]「新しい」世代のものに切り替わろうとしています。しかも名前は⁠Yaru⁠⁠。日本語話者には少しだけ奇妙に思えるこの命名が、投票の末に確定したことがdidrocks(Canonical/UbuntuのDesktop担当)のblogで伝えられています。

Ubuntuでは、かつての⁠Human⁠テーマ(オレンジ色を主体にした、9.10まで使われていたデザイン)から10.04で⁠Light⁠テーマへ切り替え、Light系列のテーマ(黒主体のAmbienceと明るい色のRadiance)が現在に至るまで使われてきていました。これらはCaonnicalが主導して作成したものです。

しかしGNOMEへの回帰に伴い、コミュニティ主導でのテーマ作成が呼びかけられました。このコミュニティベースのテーマは「Communitheme」という仮称のまま開発が続けられてきましたが、正式なネーミングのための投票が行われ、⁠Yaru⁠というネーミングが採用されたという段階にあります。

この⁠Yaru⁠「to do/to give」を意味する動詞の「やる」です。まだ開発中であり、まだ多くの調整が必要となる見込みではありますが、YaruはUbuntu 18.10以降のGNOME Desktopのデフォルトテーマとして採用される予定です[2]⁠。

ちなみにこの名前が採択される経緯としては、Communithemeの開発のスタートポイントとしてSuru(動詞の「する」)と名付けられたアイコンテーマが存在していたことに遡ります。

ここから徐々に積み上げられてきたデザイン(=“Suru”から始まった積み上げ)や、「する」に対する「やる」のカジュアルさ、そして「する」に対する自発性などが考慮され、「やる」というネーミングが導かれています。

ちなみに、日本語を母語としない人向けの「やる」「する」の差の説明ドキュメントがこちらにあります。

PowerShellのSnapパッケージ

PowerShellを、Ubuntuでもっと手軽に利用できるようになりました。

PowerShellはかつてMonadと呼ばれていた時代から数々の先進的な機能を加えられながらデザインされ、Windows用の次世代シェル環境として開発されてきました。

かつて良く言われていた、「PowerShellは素晴らしい次世代シェルだが、しかしWindowsでしか使えない」という制約もすでになく、現在では.NET Core環境を利用することで、Linux上でも利用できるPowerShell Coreも存在します。……しかしながら、少しばかり面倒なセットアップ手順を踏む必要があり、OSインストール直後にセットアップするには少々おっくうなものでした(経験者談)。

しかし、これからは違います。『Microsoftにより』PowerShell Core Snapパッケージが提供され、snapcraft.ioサイトから気軽にインストールできるようになりました。Snap環境を整えれば他のLinuxディストリビューションでも利用できますが、Ubuntuではインストール直後からSnapを利用できるため、非常に簡単にPowerShell Coreを利用できます。

繰り返しますが、『Microsoftが』『Snapパッケージを提供している』という状態です。20年、いや、15年前には考えられない世界がやってきました。

オープンソースカンファレンス2018 Kyoto

Ubuntu Japanese Teamは、8月3日(金)・4日(土)に京都リサーチパークで開催されるオープンソースカンファレンス2018 Kyotoに参加します。Ubuntuが動作するノートPCや(当日誰かが持ってくれば)各種小型ボードの展示、そして8月4日(土)には2年ぶりのLTS、Ubuntu 18.04 LTSについてというセミナーも行う予定です。皆様のご参加をお待ちしております。

日程2018年8月3日(金) 10:00~17:00(展示は11:00~17:00)・8月4日(土) 10:00~17:50(展示は10:00~16:00)
会場京都リサーチパーク(KRP)東地区
OSC総合受付:アトリウム
- JR嵯峨野線(山陰線)「丹波口駅」より西へ徒歩5分
- 「京都駅/西院駅/大宮駅/五条駅」からタクシーで約10分
費用無料
内容オープンソースに関する最新情報の提供・展示
- オープンソースコミュニティ、企業・団体による展示・セミナー
- オープンソースの最新情報を提供
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
協力京都リサーチパーク株式会社(KRP-WEEK)
企画運営株式会社びぎねっと

今週のセキュリティアップデート

usn-3717-2:PolicyKitのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2018-July/004499.html
  • Ubuntu 12.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-3255, CVE-2018-1116を修正します。
  • usn-3717-1の12.04 ESM向けリリースです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-3719-1, usn-3719-2:Muttのセキュリティアップデート
usn-3718-1, usn-3718-2:Linux kernel regression
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2018-July/004503.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2018-July/004504.html
  • Ubuntu 18.04 LTS・16.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • usn-3695-1の修正において、起動に失敗する問題が発生していました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3720-1:python-cryptographyのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2018-July/004505.html
  • Ubuntu 18.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2018-10903を修正します。
  • 悪意ある入力が行われた場合、秘匿すべき情報が漏出する場合がありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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