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2018年12月21日号新しいカーネルパッケージ “linux-oracle”・Dell製Workstationの18.04 LTSへのアップグレード

新しいカーネルパッケージ “linux-oracle”

Ubuntuのカーネルファミリーに、また新しい仲間が加わりそうです。

その名もlinux-oracle⁠。その名の通り、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)環境向けのカスタムパッケージです。

ただしこれはAWS、Azure、GCP等の「クラウド向け」カーネルのような「個別のカーネルフレーバーをもとにビルドし、カスタムパッケージにしたもの」ではありません。linux-oracleは少なくとも今のところ、⁠genericと同じフレーバーをビルドし、専用のスタンプファイルとともにカスタムパッケージにしたもの」となっています[1]⁠。他の「クラウド向け」カーネルが「そのクラウドにしか存在しない」デバイス向けのドライバやチューニングを含んでいることに比べると、ある意味ライトなカスタムカーネルパッケージといえるでしょう。

このパッケージが作られた理由として、⁠OCI環境でライブマイグレーションを実行した場合、そのままだとマイグレーション時にフリーズするバグが見つかったこと、そして対処のために、OCI環境に限ってenslaved network devices(bondingのメンバになっているデバイス)を無視する、という動作を実現する必要がある」ことがバグレポート内で説明されています[2]⁠。

この追加により、Ubuntuの「クラウド向け」に分類されるカスタムカーネルパッケージは、linux-aws、linux-azure、linux-gcp(+linux-gke⁠⁠、linux-kvm[3]⁠、linux-oracleの5系統が存在することになります[4]⁠。

その他のニュース

  • 18.04のOpenSSLパッケージに、1.1.1が追加される予定です。これは18.10にはすでに含まれているOpenSSL 1.1.1を18.04にバックポートする(これによりTLS1.3サポートを18.04にもたらす)ためのものです。この切り替えそのものに不具合を発生させる可能性があるので、重要な環境での更新はLP#1797386を参照し、影響の有無を確認してください。
  • Dell製ワークステーションで(16.04 LTSだけでなく)18.04 LTSが選択&今16.04 LTSを利用しているならアップグレードできるようになる旨のblog記事。

今週のセキュリティアップデート

usn-3845-1:FreeRDP のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2018-December/004709.html
  • Ubuntu 18.10・18.04 LTS・16.04 LTS・14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2018-8784, CVE-2018-8785, CVE-2018-8786, CVE-2018-8787, CVE-2018-8788, CVE-2018-8789を修正します。
  • 悪意あるサーバーに接続した場合に、任意のコードを(クライアントサイドで)実行される恐れがありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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