Ubuntu Weekly Topics

Ubuntu 25.04(plucky)開発 ; Feature Freeze⁠Ubuntu 24.04.2のリリース

plucky(Ubuntu 25.04)の開発 ; Feature Freeze

plucky(Ubuntu 25.04)の開発はFeature Freezeを迎え⁠今後の新機能の投入のためには例外申請が必要」というフェーズに入りました。UbuntuのFreezeは基本的に例外申請が通れば通過できる」という方式を取っており、⁠気軽にはできないものの、絶対の壁ではない」というデザインになっています。この結果、⁠リリース直前になっても新機能が出てくる」⁠雑誌記事の校了が終わってからUIが爆発的に変更される」⁠むしろ目玉機能が後から来る」といった、なんだかよく分からないイベントが発生することがあります。

今回も少なくともOpenStackについては「4月に入ってからリリース版に置き換わる」ことが共有されており、まだまだ「最終的にどうなるのか」からは一定の距離がある状態となっています。

こうした動きの横では地道な各種ソフトウェアの更新が続けられています。今週注目するべきはEvinceに変わってPDFビューアーとして投入されるPapersに関連する作業で、⁠これまだ自動テストがないじゃん、このままリリースに至ると絶対困ったことになる! とりあえず手動でもいいからテストケース作った!」というようなコメントとともに、テストケースの整理が行われています。あくまで簡易的に作られたものではあるものの、⁠テストとはこのように作るのだ」という意味では参考になるでしょう。

Ubuntu 24.04.2 LTSのリリース

Ubuntuと各種フレーバーの24.04.2がリリースされています。

Ubuntuにおける「ポイントリリース」は、LTS向けに提供される、⁠最新パッケージを導入し、リリース時点よりも新しいハードウェアに対応し、期待通りにインストール可能にしたイメージ」を意味します。⁠新しいハードウェアに対応し」というのはカーネルやハードウェアと密接に関連するソフトウェアスタックの更新のことです。この更新をUbuntuでは、⁠HWE」⁠HardWare Enablement)と呼び習わしています。

ポイントリリースは基本的には「LTSリリースを新規にインストールする場合の手間を省くもの」という位置づけで、既存の24.04 LTS環境について何か追加の作業を行う必要はありません。アップデータを適用していくことで、自動的に「24.04.2と同じ」環境に更新されます(厳密には「24.04.2が、アップデータを適用していった24.04と同じ」と考えるのが安全です⁠⁠。LTSの位置づけについては、Ubuntu Weekly Recipe 第337回も参照してください。

その他のニュース

  • CanonicalのCLA(Contributor License Agreement)プロセス[1]更新されCI/CDパイプラインの一部に組み込まれる形で提供されるようになりました(以前はメール経由でサインを提供するような手動のプロセスでした⁠⁠。さらにSSO経由で電子的に署名するモデルに変更になり、非常に簡易にプロセスを進めることができます。

今週のセキュリティーアップデート

usn-7269-1, usn-7269-2:Intel Microcodeのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009005.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009023.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-31068, CVE-2024-36293, CVE-2024-39279を修正します。
  • 悪意ある操作を行うことで、DoS・特権昇格が可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

usn-7161-2:Dockerのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009006.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-29018, CVE-2024-41110を修正します。
  • usn-7161-1の22.04・20.04・18.04・16.04用パッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7271-1:virtualenvのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009007.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-53899を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、任意のコードの実行が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7272-1:Symfonyのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009008.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2022-24894, CVE-2022-24895, CVE-2023-46734, CVE-2024-50340, CVE-2024-50341, CVE-2024-50342, CVE-2024-50343, CVE-2024-50345, CVE-2024-51996を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・CSRF・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7270-1, usn-7270-2:OpenSSHのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009009.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009012.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-26465, CVE-2025-26466を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・MiTMが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7274-1:Atrilのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009010.html
  • Ubuntu 22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2019-1010006, CVE-2019-11459, CVE-2023-51698を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。また、本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7275-1:Libtasn1のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009011.html
  • Ubuntu 24.10・22.04 LTS・20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-12133を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7273-1:libsndfileのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009013.html
  • Ubuntu 22.04 LTS・20.04 LTS・18.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2021-4156, CVE-2024-50612を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7276-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7277-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7281-1:GnuTLSのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009016.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-12243を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7278-1:OpenSSLのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009018.html
  • Ubuntu 24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-13176, CVE-2024-9143を修正します。
  • 悪意ある操作を行うことで、本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。また、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

usn-7280-1:Pythonのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009019.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-0938を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、SSRFが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7279-1:WebKitGTKのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009020.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-24143, CVE-2025-24150, CVE-2025-24158, CVE-2025-24162を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、WebKitGTKを利用するアプリケーションを再起動してください。

usn-7275-2:Libtasn1のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009021.html
  • Ubuntu 24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-12133を修正します。
  • usn-7275-1の24.04向けパッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7284-1:Netty のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-February/009022.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2022-24823, CVE-2024-29025を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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