Ubuntu Weekly Topics

Ubuntu 25.10(questing)開発; デスクトップのロードマップ

questing(Ubuntu 25.10)の開発; デスクトップのロードマップ

questing(Ubuntu 25.10)におけるUbuntu Desktop部分のロードマップが提示されています(あくまで「キー機能」の提示であることと、すべてが提示されているわけではないことに注意してください⁠⁠。

注目するべき点を、ある程度取捨選択しながら(そして文脈を補足しながら)見ていきましょう。

  • まず最初に、GNOME 49の搭載がキートピックとして取り上げられています。これは「いつもの」という分類で、⁠順調にバージョンがあがります」という文脈で捉えてよいでしょう。
  • ここで注目するべきは補足的に説明されている、画像ビューアLoupeやターミナルエミュレータPtyxisへの更新、VRR(可変リフレッシュレート)とNVIDIA GPU+Waylandの組み合わせへの対応、そして目立たない位置に配置されているRISC-Vでのデスクトップサポートです。RISC-VでのデスクトップサポートはFirefox, Thunderbirdのような「デスクトップでお馴染みの」アプリケーションへの対応が含まれ、⁠完全に機能するデスクトップセッションを実現する」ことが目標とされています。RISC-Vの時代がやってくる、とまでは言えないものの、⁠デスクトップとして利用できる」というのはひとつのマイルストーンです。
  • 次のセクションでは、セキュリティの文脈でTPMベースのFull Disk Encryptionの「回復キー」のインストール時点でのキー表示機能と、セキュリティセンターからのキーの再生成のサポート、そしてパスフレーズエントロピーの評価と、⁠ファームウェアアップデート時に、回復キーを持っているか確認する[1]機能が搭載されます。これは「26.04 LTSの前に、一応の完成を目指す」という位置づけです。また、⁠NVIDIAドライバーとの併用」も可能になることが追加のコメントで示されています。
  • 「権限確認プロンプトがあまりにも大量に表示されないようにする」という継続的な取り組みが進められることが提示されています。これは息の長い対応が必要な対応であり、今後も継続した対応が必要な性質のものです。
  • インストーラーにLandscape統合が行われ、⁠インストール時にデバイスの登録等を自動的に行えるようにする」機能が提供されます。これにより、企業のIT管理者が「Ubuntu Desktopを大量にデプロイする」際の手間を省けるようになります。また、Microsoft Entra IDのデバイス登録機能の拡張も含まれ、⁠直接登録し、ポリシーを適用する」ことができるようになります。これらは「エンタープライズ向けデスクトップ」としてもっとも重要な機能で、⁠集中管理されるデスクトップ」として運用できるようになります。
  • (2025-10月サイクルでの)22.04、20.04ベースのWSLイメージの更新。こちらはquestingには関係なく、⁠10月までのマイルストーン」という形で列挙されています。
  • デスクトップドキュメントの改訂が予告されています。
  • European Accessibility Act ⁠EAA; 欧州アクセシイビリティ法)に基づく、アクセシビリティ面の改善が宣言されています。

全体的な傾向としては「順当な範囲のアップデートである」⁠ただし、主要アプリケーションの置き換え(GNOME側での更新によるものもあれば、そうではないものもある⁠⁠エンタープライズデスクトップとしての拡張」といったもので、⁠LTSへの準備』である「26.04前の最後のリリース」としての性格が出ている形となっています。

なお、発表に付随するディスカッションスレッドでは「システムモニターとビデオプレイヤーを置き換えることを検討している」⁠具体的な移行先は提示されておらず、評価中)ことが示されており、ここにあるものがすべてというわけでもなさそうです。

これらとともに、リリーススケジュールが改めて提示されています。Ubuntu 25.10 ⁠Questing Quokka⁠は、10月9日にリリースされてる予定です。

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  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-May/009346.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-22247を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、権限昇格が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-May/009347.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-0838を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7507-1:Rackのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-May/009348.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・18.04 ESM・16.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-32441, CVE-2025-46727を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoS・アクセス制御の迂回が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-May/009361.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-26646用のアップデータがリリースされています。
  • 悪意ある入力を行うことで、ファイル名の偽装が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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