Ubuntu Weekly Topics

Ubuntu 25.10(questing)開発; Questing Snapshot 2のリリース⁠Canonical builds of OpenJDK

questingの開発; Questing Snapshot 2のリリース

questing(Ubuntu 25.10)の開発は、節目となるSnapshot 2がリリースされました。Snapshotはquestingから開始された新しい試みで、⁠毎月スナップショット的なISOイメージをリリースすることで、リリースプロセスの改善とQAを加速する」ためのアプローチです。Snapshotはあくまで「開発版のスナップショット⁠⁠、要するに「月末に作られる仮のイメージ」でしかないため、あくまでテストのために利用されることが期待されます。

ここから8月14日のFeature Freezeまではさまざまな試行錯誤が行われ、そして毎月末にはSnapshotが提供される形で10月のリリースを迎える見込みです。次のマイルストーンは、7月28日のSnapshot 3です。

Canonical builds of OpenJDK

Javaを開発して動作させるには、JDKと呼ばれるソフトウェアセットが必要です。このJDKの現時点での業界的な標準がOpenJDKで、いろいろな歴史的経緯により、OpenJDKにはさまざまな提供者による複数のビルドと、それに付随する有償サポートサービスが存在します。

このビジネスに、Canonicalもチャレンジすることが発表されています。⁠Canonical builds of OpenJDK」と名付けられたこのビルドセットは、Ubuntu Pro上での利用を前提として、⁠少なくとも」2034年までのサポートが提供されることが宣言されています(これにより、2014年にリリースされたJDK 8が、2034年まで、つまり少なくとも20年のあいだ業界内で利用されていく、ということがおおむね確定しました⁠⁠。

さらにChiseled JREと名付けられたコンテナイメージも提供され、既存のワークロードをコンテナに持ち込むことも容易にできるようになるはずです。Chiseledの名の通り、これはChiselを用いて「最小化された」Ubuntuベースのイメージで、数十MB程度のオーバーヘッドでJavaワークロードを「コンテナに押し込む」ことができます。

また、SpringとdevpackのSnapサポートSpring Bootコンテナのサポートも拡張され、典型的なSpringワークロードへのサポートも拡充されます。

さらに26.04以降では、GraalVMCRaCによる「プリウォームされた」イメージも利用できるようになることが予定されており、⁠少なくとも10年のサポート」⁠高速な起動」⁠シンプルな使い勝手」⁠小さなフットプリント」を実現できるようになる見込みです。Javaベースのワークロードを利用しているユーザーにとっては、非常によい使い勝手になると言えそうです。

その他のニュース

  • Canonicalが(日本語で)何でも質問できるLivechat Dayを7月11日(金)に開催します。業務でUbuntuを利用するような場合には相談してみてはいかがでしょうか。
  • Snapdragon X Elite用『Concept』イメージ25.04ベースの更新版がリリースされています。
  • Ubuntu 24.10(oracular)7月10日にEOLを迎えます。これ以降、24.10向けのアップデータはいかなる理由があっても提供されません。現在24.10を利用している場合は、plucky(25.04)にアップグレードしましょう。

今週のセキュリティーアップデート

usn-7590-1:Apache Log4jのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009480.html
  • Ubuntu 14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2022-23302, CVE-2022-23305, CVE-2022-23307を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、任意のコードの実行が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7588-1:GSS NTLMSSPのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009481.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-25563, CVE-2023-25564, CVE-2023-25565, CVE-2023-25567を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7587-1:Fig2devのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009482.html
  • Ubuntu 24.10・24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM・18.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2020-21680, CVE-2020-21682, CVE-2020-21683, CVE-2025-31162, CVE-2025-31163, CVE-2025-31164を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7591-2:Linux kernel (FIPS)のセキュリティアップデート

usn-7591-3:Linux kernel (Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7591-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7593-1:Linux kernel (HWE)のセキュリティアップデート

usn-7592-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7589-1:Gnuplotのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009488.html
  • Ubuntu 20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2018-19490, CVE-2018-19491, CVE-2018-19492, CVE-2020-25412, CVE-2020-25559, CVE-2020-25969, CVE-2021-44917を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7594-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7591-4:Linux kernel (AWS)のセキュリティアップデート

usn-7595-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7595-2:Linux kernel (Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7597-1:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

usn-7598-1:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

usn-7596-1:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

usn-7597-2:Linux kernel (Azure FIPS)のセキュリティアップデート

usn-7585-3:Linux kernel (FIPS)のセキュリティアップデート

usn-7596-2:Linux kernel (Azure}, N-Series)のセキュリティアップデート

usn-7585-4:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

usn-7595-3:Linux kernel (Raspberry Pi Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7599-1:urllib3のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009501.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-50181, CVE-2025-50182を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7602-1:Linux kernel (Xilinx ZynqMP)のセキュリティアップデート

usn-7594-2:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

usn-7595-4:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7601-1:libarchiveのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009505.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-5914, CVE-2025-5915, CVE-2025-5916, CVE-2025-5917を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7600-1:libxsltのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009506.html
  • Ubuntu 22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-40403を修正します。
  • ASLRによるメモリ空間のランダム化の迂回が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7599-2:pipのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009507.html
  • Ubuntu 25.04・24.10・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-50181を修正します。
  • usn-7599-1のpython-pip向けリリースです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7582-2:Sambaの再アップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-June/009508.html
  • Ubuntu 18.04 ESM・16.04 ESM・14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。
  • usn-7582-1における問題を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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